FDAのIVD試験要件について知っておくべきこと

CEマーキングに準拠しているIVD医療機器を製造する欧州メーカーは、製品を米国市場に投入する際に多くの追加検査・検証試験要件に直面する可能性がある。

体外診断用医療機器指令 (IVD) は非体外診断用医療機器指令 (IVD以外) と同じFDA規制枠組みの対象となっている。 つまり、IVDの分類が決定されると、基本的な機器規制がIVDとIVD以外の機器両方に適用されるということである。

しかしながら、FDA要件に従うために必要とされる検査または検証研究の種類を含め、準拠性を示す方法には違いが存在する。

欧州においてIVD医療機器は、欧州ニューアプローチ決議の下で策定されたIVD指令 (98/79/EC; IVDD) の対象である。

5~6年内に実施される新しいIVD規制は、米国と欧州のIVD要件間の違いを縮小すると見込まれているが、2つの規制体系間の大きな違いはしばらく残ると思われる。

IVDの分類

IVD機器の分類はFDA認可または承認のための適切な市販前プロセスを決定付け、また要求されるIVD試験の範囲にも影響する。 IVD以外の医療機器と同様に、FDAはIVDを安全性と有効性を確約するために必要な規制管理の認識されたレベルに基づいてClass I、II、IIIに分類しており、Class Iが低リスクの機器、Class IIIが最高リスクの機器とされている。

適用外ではないClass IまたはIIのIVD機器は、米国市場に投入する前に510(k) 市販前届の認可が必要となる。Class III機器は、その機器が1976年より前に市販された修正前医療機器である、または実質的にそのような機器に相当し、FDAがPMAを要求していない(その場合510(k) が必要となる)限り、市販前承認 (PMA) の申請が必要となる。

510(K) 認可を取得するために、企業は機器を米国市場で販売する意図があり、それが安全性と有効性に関して合法的に市販された装置 (predicate device) に実質的に相当することを示すデータと情報をFDAに提出する必要がある。

FDAのウェブサイトによると、2013年には368台のIVD機器が510(k) プロセスを通じて認可され、3 件のPMAが承認されている。

FDAがIVDに関して実施している規制監督は、ほとんどのIVDにCEマーキングプロセス中の公認機関による評価や介入を要求していない現行の欧州規制体系とまったく対照的である。

市販前試験要件

IVDを含むほとんどの医療機器は510(k) プロセスを通じて米国市場に投入される。 IVDの場合、このプロセスは新しい機器のバイアスまたは誤差及び不正確さ、及び分析特性と感度を含め、合法的に市販された機器と新しい機器を比較した分析的有効性特性の評価を要求している。

当局は510(k) 申請について90日以内に合否を判断しようとしているが、追加情報が要求される場合この期間は延長されることがある。

多くの場合、臨床サンプルを使用した分析的研究で充分である。 場合によっては、慎重に選択された人工的サンプルの試験によって研究データを補足することができる。 ただし、FDAはこの種のサンプルの使用を合計サンプル数に対して低い割合に制限している。

分析的有効性と臨床的有効性間のつながりがしっかりと定義されていないために、臨床情報が必要とされる場合がある。 一部のIVDについて、FDAは新しい機器の臨床的有効性を評価できるように、充分な実験及び (または) 臨床的特徴づけがなされた臨床サンプルを要求する。

これは通常臨床的感度及び臨床的特異性または一致で表される。 これが不十分とみなされた場合、FDAは予測的臨床研究を要求することがある。

PMA承認プロセスは最高リスクカテゴリの機器に適用されるため、510(k) プロセスよりもずっと厳格である。 FDAはPMA申請について180日以内に合否を判断しようとしているが、未対応の科学的問題があるとFDAが判断し、追加情報を要求した場合、このプロセスは大幅に延長されることがある。

分析的有効性

IVDの分析的有効性を実証するために必要な研究は、IVDの種類と、それが例えば質的、半定量的、または定量的であるか否かによって異なる。 FDAによると、IVDに関する主な分析的有効性パラメータには、 精度、検出限界、定量限界、分析的カットオフ、精密度、マトリクス比較、分析的特異性 (交差反応と干渉)、試薬及びサンプルの安定性研究、基準範囲、標準材料に対するトレーサビリティ、線形性、方法比較、高用量フック効果などが含まれることがある。

FDAは、検証研究プロトコルが評価に使用されるサンプル、測定される検体のレベル、治験設計、評価するパラメータ、合否基準、提案するデータ分析法に関する情報を提供することを求めている。

臨床・検査標準協会 (CLSI) 規格による規定など、分析的有効性検査が標準化されるに従い、FDAはそれらの規格に基づいて研究が行われることを求める。

分析的有効性検証に関して望まれることは、FDA標準とガイダンス文書で定義されているが、これもまた欧州体系と大きく異なっている。

これは、欧州必須共通技術仕様 (Common Technical Specifications) が非常に少数の製品のみを対象としているだけでなく、欧州委員会のウェブサイトには37のIVD整合規格がリストされているためである。

しかしこれらのうち、EN 13612:2002の1つだけがIVD有効性評価研究に言及しており、これも大幅な見直しが必要である。

さらに、FDA認定標準とガイダンス文書に記載がある、IVD試験を実施する方法や技術的問題に対処する方法について、欧州レベルのガイダンス文書はない。

方法比較

方法比較研究は一般に新しい機器の性能を市販済み機器と比較する。

しかし、一部の機器の種類では、適切なコンパレータは参照法や臨床診断である場合がある。 市販済み機器がなく、適切なコンパレータを選択する必要がある場合、企業は研究を開始する前に、FDAの申請前 (presubmission) プログラムを通じて当局から意見を求めるべきであろう。

方法比較研究を実施する際、企業は 治験設計、治験対象母集団、サンプルサイズ決定方法、治験サンプルサイズ、合否基準、試験所の場所の数、サンプル種類選択基準及び理由、サンプル収集・処理方法、個人別に記録された測定数 (該当する場合)、コンパレータまたは予測装置、試験プロトコル、データ解析プロトコルなど、FDAに提供する情報を用意しておく必要がある。

臨床的有効性

臨床的有効性データの生成が必要か否かは機器の種類、用途、その他要因によって決まる。 例えば、機器が新しい検体の測定または検出を行う場合、新たな用途または適応がある場合、あるいは新規的な方法に基づいている場合などは臨床データが必要とされることがある。

臨床的有効性データは多くの510(k) 申請には必要とされないが、機器の安全性と有効性を確立する必要があるPMAでは通常必要とされている。 臨床研究は、臨床材料を使用し、別の方法または機器のパラメータと比較して試験測定パラメータを評価する臨床分析的研究と混同されてはならない。

米国で臨床研究が行われる場合、研究のスポンサーは研究対象のIVDが21 CFR 812に指定された治験用医療機器に対する適用免除 (IDE) 規定の対象となるか否かを判断する必要がある。

IDEはPMAまたは510(k) の申請を裏付ける安全性と有効性に関するデータを収集するために、治験用機器を臨床研究に使用することを許可している。

米国外の企業は、ほとんどの臨床研究について、研究が3つ以上の場所で実施され、かつ1つ以上の場所が国内であることをFDAが求めている点に理解が必要である。

しかしながら、この要件は特定のIVDによって異なる。試験場所が米国外であっても、臨床データをプール可能であることを示す必要がある。

FDAが重視しているもう1つの重要な領域は試験データの分析に使用される統計法についてである。 例えば、FDAは米国市販前届出または申請における臨床研究の統計設計を非常に重要視している。

企業はそれらデータの開発プロセス早期に、統計分析とバイアスの回避についてFDAの認定している標準とガイダンス文書を参照する必要がある。

申請前プロセス

FDA申請前 (presubmission) プログラムは市販前届出及び申請を提出する前に企業がFDAのフィードバックを得る機会を提供する。

当局のウェブサイト上に掲載されたFDAガイダンス文書で、プログラムの詳細情報と従うべき手順が提供されている。 FDAのフィードバックは正式な書面の回答、面談、または議事録にフィードバックが記載される電話会議の形式で提供されることがある。

FDAのフィードバックを得る機会は、企業がコストと時間のかかる試験プログラムに投資を始める前に、市販前届出を支持するための試験に関してFDAが期待していることを企業が確実に理解するために特に重要である。

標準とガイダンス文書

適用されるFDA認定標準とガイダンス文書を特定することは、FDAの要件を満たさない設計または試験に関連するコストのかかる遅れを回避するために、米国市場への投入を決定する際に企業が取り組む最重要作業の1つである。

FDAはガイダンス文書の中で、FDAが法的に強制可能な責任を定めるものではないと述べている。 代わりに、それらは当局のトピックに関する現行の考え方を説明するものであり、特定の規制または法定要件が引用されていない限り、単なる推奨としてみなされるべきである。

しかしながら、ガイダンス文書は参考にする必要があり、ほとんどの場合、それに従うことで機器の認可または承認の遅延を回避する必要がある。

IVDに関するFDAガイダンス文書は当局のウェブサイトにある。 現在、全般的ガイダンスを含め128のIVD関連ガイダンス文書がリストされているが、多くが製品固有のものである。

製品固有のガイダンス文書には、特定の機器にもよるが、精密度評価研究、線形性評価研究、方法比較、干渉評価、安定性研究またはその他の研究などのトピックが含まれる。

必要とされる適切な準備

企業が製品の市場投入を計画しているとき、前臨床及び臨床研究の実施は、一般に最も時間がかかり、コストがかかる活動である。 これはIVD機器も該当する。

さらに、IVDに関連する米国と欧州体系の違いは試験データに関して定義された要件を超えて存在する。 したがって、米国市場に参入することを慎重に計画している企業は、試験要件を含むすべてのFDA要件について、開発プロセスの可能な限り早期において、熟知している必要がある。

著者:

Maria E. Donawa, M.D.
President
DONAWA LIFESCIENCE CONSULTING
Piazza Albania, 10 - 00153 Rome, Italy
Tel: +39 06 578 2665

www.donawa.com

カテゴリー: