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使い捨て医療機器向け滅菌法のソーシング

使い捨て医療機器向け滅菌法のソーシング

どのような滅菌技術を選択するかは、材料の性質、パッケージ、侵入特性、製品の感度によって異なる。本記事では、電子線、X線、EtOやガンマ線など現在利用されている滅菌技術について考察する。

 

Philippe Dethier, IBA, Louvain-la-Neuve, Belgium

電子線、X線、EtOやガンマ線は、正しく適用されたとき、すべて安全で効果的に医療製品を滅菌することができる技術である。しかし、それぞれに利点と欠点がある。

EtO とガンマ線は規制が強まっており、安全に関連した懸念が生じやすくなっている。ガンマ線滅菌は、ガンマ線を放射し続ける放射性同位体、コバルト 60 を使用する必要がある。コバルト 60 の供給、輸送、廃棄、および放射線をオフにできないという事実は、是非はさておき、監視の対象となる問題である。

EtO は滅菌プロセス中に医療機器によって吸収される有毒ガスである。滅菌済み医療機器中の許可される最大 EtO 残留レベルは規制が厳格になるにつれて少なくなっている。

化学及び放射線源をベースとした滅菌プロセスに対する規制圧力の高まりは、電子線及び X 線技術の採用を加速している。X 線と電子線のプロセスは環境にやさしく、再生可能なリソースによる生成が増加している電力をベースとしているため、規制の流れとうまくかみ合う。

電子線及び X 線技術

図1:放射性技術の選択プロセス

電子線滅菌は今日最もコスト効果に優れた技術である。X 線滅菌はパッケージ済みの製品をパレット経由で扱う質の高いプロセスを提供する。

電子線及び X 線技術はいずれも電子線発生装置を利用する。これら 2 つの技術の主な違いは、ビームラインの終わりに特定の標的を追加して電子線を X 線に変換することである。

2012 年、電子線は世界の滅菌市場シェアの 10% を占めており、これは最も急速に成長を遂げている滅菌技術である。最もコスト効果に優れた滅菌法であると受け止められていることによりその人気が高まっている。

電子線は電気をベースとした照射プロセスである。電子加速器は電子源、加速空洞、ビーム出口ホーンを含み、製品が電子線カーテンを通過して送られる。

一般に、パッケージ済み医療機器の平均密度は 0.15 g/cm3 である。電子線は 10-MeV のエネルギーを生成し、約 60cm 厚のパーツを処理することができる。ガンマ線とは対照的に、電子線はその全出力が製品に向けられる。したがって、電子線の照射量はガンマ線よりずっと高く、ずっと高速な滅菌処理時間が実現される。

電子線照射に暴露される時間が非常に短いため、医療機器に対する放射の潜在的影響は最小限となる。

電子線処理はほとんどの使い捨て医療製品に対応している。それらには、プラスチック製注射器、縫合糸、針、プラスチック及びゴム製カテーテル、ビニル手袋、メス、被覆材、透析ユニット、輸液セット、義肢、カニューレ、外科用メス、かみそり、及びさまざまなビニル袋やプラスチック製容器などが含まれる。PTFE、シアノアクリレート、ナイロンなどの弱い材料は、吸収される照射量によって電子線処理中に劣化を生じることがある。

X 線も電気をベースとした照射プロセスである。高出力、高エネルギーの加速器が利用可能になった現今、滅菌をめぐる状況は急速に変化している。X 線は電子線よりも侵入度が高く、ガンマ線よりも侵入度が若干優れている。侵入度が高い X 線は線量の均一性に優れ、製品を直接パレット上で扱うことができる。ガンマ線を使用して X 線の同等の線量の均一性を達成するには、製品をトートボックス内で並べ替える必要がある。

  電子線箱 X線パレット ガンマ線パレット ガンマ線トート箱
労働量 過多 効率的 効率的 過多
エネルギー源 電気 電気 コバルト コバルト
エネルギー効率(コスト/㎡) 非常に高い 高い 低い 低い
照射の中止 できる できる できない できない
製品浸透度 低い 非常に高い 高い 高い
線量の均一度 平均的 非常によい よい 非常によい
不均等性への適応性 低い かなりよい よい よい
線量率 非常に高い 中間 低い 低い
照射時間 秒単位 時間単位 長時間 長時間
費用対効果

非常によい

よい

よい

よい
熱現象 ˜0.5。C/kGy 電子線やガンマより低い 最高約20。C 最高約20。C
酸化感受性 少ない 電子線と同等 電子線やX線より多い 電子線やX線より多い
市場性 普及 新技術 普及 普及

プロセスを決定するときに検討すべき放射滅菌特有の重要パラメータは次のとおりである。

線量均一性。これは製品の滅菌に必要な最小線量と製品の許容最大過剰照射量間の差である。当然、過剰照射などないことが理想である。しかし実際には、製品全体にわたって必要とされる最小線量を達成するには過剰照射が必要となる。過剰照射は照射に強い材料を処理するとき重大な問題とはならないが、照射に対して限られた耐性しか持たない材料から成る装置は製品の劣化を防止するために最適な線量の均一性が要求される。

侵入度。各放射線技術には多様な物理的侵入特性がある。より深い侵入度はパレットやより高密度の製品など大型パッケージの処理が可能であるが、処理品質 (線量均一性) に直接的な影響がある。電子線は侵入度が限られており、箱内の製品処理に適している一方で、ガンマ線はトートボックスの使用が必要である。X 線滅菌は高い侵入特性を備え、パレット処理が可能であるため、必要な労働力を減らし、製品の取り扱い中に生じる破損や再包装ミスの可能性を最小限にすることができるため、産業規模の生産に適している。

エネルギー効率。これは一定量の滅菌に必要なエネルギーのコストによって算出される。電子線滅菌は、滅菌が数秒内に終わるため、最もコスト効果に優れた技術である。一部企業は電子線滅菌の効率の恩恵を受けられるように機器の設計を対応させている。

ソースエネルギー。電気源は放射を必要に応じて停止させることができ、これは放射性原子力源では不可能である。人体の安全という観点から、これは重要な特性である。放射性物質のソーシング、輸送、廃棄に関連する物流は規制による監視対象となる場面が増えている。

滅菌技術の選択

滅菌プロセスの選択において主に検討すべきことは、その技術に対する製品の適合性である。製品の適合性には 4 つの側面がある。パッケージの均一性、材料/ポリマーの照射耐性、侵入要件、製品の感度である。

図 1 に示すフローチャートは、一般的な放射性技術の選択プロセスを表している。製品のニーズを満たす滅菌プロセスのソーシングに役立つことを願う。

著者:

Philippe Dethier

Marketing and Business Development Director at IBA, Louvain-la-Neuve, Belgium
Tel. +32 10 201 249; e-mail: philippe.dethier@iba-group.com
www.iba-industrial.com

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