東北大など、強度と導電性を兼ね備えた生体適合性材料を作製

図1: ゲル中でカーボンナノチューブが縦に配列された生体適合成材料。

東北大学の研究者らが、生体適合性材料の強度と導電性の大幅な改良に成功した。この技術を用いて、再生医療に必要な臓器や組織作製が期待される。


本成果は、東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)のラモン・アスコン助教、アハディアン助手、カデムホッセイニ主任研究者、末永主任研究者らのグループは、東北大学大学院工学研究科、大学院環境科学研究科、物質・材料研究機構、ハーバード大学などによるもので、2013年6月25日(欧州時間)にAdvanced Materialsオンライン版に掲載される。

図2:改良した生体適合性材料を使い作製した筋繊維。

研究者らは、親水性ゲルとカーボンナノチューブのハイブリッド材料を使用し、カーボンナノチューブを一方向に並べることで実現(図1)。

さらに、改良した材料を使って培養した筋肉組織(図2)が、従来より効率的に収縮弛緩することを示した。 

iPS細胞などの再生医療への利用が現実化する中で、病変した臓器や組織を代替・修復するための組織工学に対する期待が高まっている。

臓器の代わりとなる生体組織を作製するためには、細胞が集まって立体的に成長する必要があり、細胞同士の接着剤や成長の足場として働く材料が必要不可欠で、これまで生体適合性が高い親水性ゲルが足場材料として利用されてきたが、機械的強度に乏しく導電性が低いため、筋肉、心臓、神経組織など、十分な強度と高い電気刺激への反応性が求められる生体組織の作製に使用することが困難だった。

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図3:親水性ゲルとカーボンナノチューブによるハイブリッド材作製の仕組み。(画像クリックで拡大)

このため、親水性ゲルに強度と導電性を付与する技術開発が、組織工学の分野で求められていた。本研究グループは、親水性ゲルとカーボンナノチューブのハイブリッド材料を使用し、誘電泳動という現象を利用することで上記の問題を解決(図3)。

図4:親水性ゲルでのカーボンナノチューブの配向を示す顕微鏡写真。

ハイブリッド材料を不均一な電場の中におくことで、ゲル中のカーボンナノチューブの向きを一方向にそろえることが可能となる(図4)。

そのため、十分な機械的強度が得られ、導電性が大幅に向上した(図5)。

さらにこの材料を用いて、筋芽細胞を、電気パルスを加えながら培養したところ、ひも状の筋繊維に変化することが確認された(図2、図6)。

図5:ハイブリッド材料の電気的特性。(画像クリックで拡大)

これは、ハイブリッド材料の高い導電性によって、電気刺激が効率的に筋芽細胞に作用したためと考えられる。

この筋繊維は、従来の細胞工学の技術で作製されたものより効率的に収縮弛緩することが示された。


今後は、さらに組織化され生体内と類似の機能を有する筋肉組織を今回開発したハイブリッド材料上に作製し、新しいタイプの薬剤スクリーニング、バイオセンシングシステムへと展開していく予定という。

また、ハイブリッド材料上の筋肉組織を駆動源としたバイオポンプなどへの展開も予定している。

図6: ハイブリッド材料を足場にした筋繊維作製の仕組み。

 

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