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医療イノベーション推進室・八山企画官、医療機器産業を成長産業へ:MEDTECセミナーを前に

医療イノベーション推進室・八山企画官、医療機器産業を成長産業へ:MEDTECセミナーを前に

医療イノベーション推進室」は、日本発の国際競争力を持つ医療機器を生み出すための、重要な国の司令塔です。医療機器の開発において主要な役割を担う文部科学省・厚生労働省・経済産業省・総務省などの縦割りを排除し、産学官が一体となったオールジャパン体制を実現すべく、平成23年1月に内閣官房に創設されました。

今回「MEDTEC Japan2012 」国際セミナーでは、「医療イノベーション推進室」の八山幸司企画官に今後大きな成長が期待される医療機器産業の発展に向けての取り組みについてご講演いただきます。

医療イノベーションのゆくえ」に関するセミナー(4月18日、水曜、午前9:05-9:50)を前に、八山氏に色々とご意見を伺いました。




1.医療機器業界では長期的展望にたった「医療イノベーション推進室」への期待が非常に高いです。産学官が一体となった「オールジャパン体制」のメリットをお聞かせ下さい。

八山氏:医療機器は、世界的にも今後大きな成長が期待されており、特に、日本が最も得意とする、ものづくり力が生かせる分野であることから、国としても新成長戦略における重要分野として、重点的に力を入れていくこととしています。

新しい医療機器の開発には、広範な分野の高い技術力を融合させることが必要になりますが、その推進には、産学官が一体となったオールジャパン体制を構築し、国をあげて取り組むことが有効だと考えています。

2.今回のセミナーでは医療機器の「イノベーション」と「法規制」が2大テーマとなっていいます。今後、日本発の「革新的医療機器」の開発・改良には何が最も重要とお考えですか?
八山氏:革新的な医療機器の開発には、これまでにない新しい発想と、それを実現させるための、広範な分野の優れた技術の融合が必要です。そのためには、多くの異業種が医療機器業界に参入して、知恵と技術を結集することが大切と考えています。そのような異業種の融合の場として、医療機器開発を進める産業が集積した地域や、産学官による研究開発コンソーシアムを作り、多くの関係者の力を集約できるような仕組みを作ることが重要と考えています。

また、国内では、規制・制度上の課題により、革新的な医療機器の開発が進んでいない事例もまだ多く散見されます。このような開発の取り組みを、迅速に実用化につなげるためには、規制・制度改革を行い、我が国が研究開発を行いやすい環境になることが重要だと考えています。

3.日本の企業が国際競争力をつけるという意味でも,医療機器の産業を発展させていくという観点からも,薬事承認の迅速化も課題となっています。これについてはどのようにお考えですか。

八山氏:薬事承認を迅速にするためには、まず医療機器の審査を行うPMDAの体制を強化することが必要です。特に、医療機器の場合、医療・工学双方の専門的な知識が求められますので、医療にも精通し工学の知識を有する審査員の充実が必要だと思われます。

また最先端の医療機器を審査するためのガイドライン等の整備やレギュラトリーサイエンスの取り組み等により、審査能力を向上させることが必要だと思います。

また中長期的には、同じ薬事法の中でみている医薬品と医療機器とでは異なる特性を持っているということを考慮した制度改正・運用改善の検討が必要と考えられます。

4.現在、日本の医療機器業界が抱える一番の課題は何だとお考えですか

八山氏:リスクの高い開発に安心してチャレンジできるような環境が整っていないため、革新的な医療機器の開発に取り組みにくい状況にあり、全般的な保守的傾向が強まっていることが課題ではないかと思います。これは一つの課題を解決すれば良いというものではなく、複合的な原因だと思います。その解決には、産学官が一体となって医療機器の開発に取り組むことと、何よりも国として医療機器開発を最重要課題と位置付けて、国をあげて推進することが必要と考えています。

5.「医療イノベーション推進室」では、革新的医療機器を開発する上で主要な役割を担う文部科学省・厚生労働省・経済産業省・総務省などの縦割り排除が大きな課題と思われます。ご苦労も多いと思いますが、司令塔として何が一番困難でしょうか?
八山氏:医療機器の開発に関して、基礎から実用までの各段階ごとに各省が各々の所掌範囲の中で支援を行っていますが、必ずしも全体像を把握した上での支援になっていないため、各省の支援毎の重点化が揃っていなかったり、各省の支援策がうまくつながっていない等の課題があります。

医療イノベーション推進室は、このような課題を克服するために、支援全体を鳥瞰し、ボトルネックとなる部分を明確化することで、支援にメリハリをつけて全体最適な支援を行えるように各省の支援を調整する役割を担っています。その際、司令塔として各省に指示をすると言うよりは、各省の施策をスムーズにつなげる「接着剤」としての機能を担うことが大切ではないかと考えています。

6.早いもので東日本大震災から1年が経ってしまいました。今後の日本の医療機器業界はどうなっていくとお考えでしょうか?

八山氏:今後医療機器に求められるものとしては、小型化・省力化が考えられます。被災地における医療機器の活用でも課題になりましたし、グローバルで見ても、この傾向は拡大するのではないでしょうか。それからデジタル化への対応があげられます。スマートフォン等の医療現場での活用は既に始まっていますが、ITの進歩にあわせて医療機器の役割も変わってくるものと思います。更に個別化医療の進展に伴う診断と治療の一体化の流れもあると思います。

そして、これらに必要な核となる技術は、どれも日本の得意とする分野です。医療機器の将来像も考えながら、いかに関連技術を融合させて開発の方向性を打ち出していくかが大切だと思います。

 

八山氏は、会議初日(4月18日水曜日)の午前905分〜950に、「医療イノベーションのゆくえ ~日本の医療機器産業を成長産業へ~」について講演をされます。

セミナーでは、今後大きな成長が期待される医療機器産業の発展に向けての政府の取り組みについてお話頂きます

 


八山幸司

内閣官房 医療イノベーション推進室 企画官 

経産省、厚労省を経て、2011年から内閣官房に司令塔として設置された医療イノベーション推進室で医療の産業化に取り組まれています。

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