ソフトウェアはいつ医療機器になるのだろうか?

来年早々に発行が予定されているEUガイダンスでは、スタンドアロン型医療ソフトウェアの位置づけを明確にすることが期待されている。だが、既に国際基準が常識的なコンプライアンスへのルートを提供しているので、来年の発表まで待つ必要はない。

あなたの電話が鳴る。当局だ。医師がヒヤリハット事例を報告し、あなたのソフトウェアが使用されていた。ここで混乱が生じる。ソフトウェアは医療機器なのか?CEマークを取得済みか?来年、欧州委員会が発行予定のドキュメントでその指針が示される。

スウェーデンでは、ソフトウェア関連の重大死傷件数が国内の医療製品機関で増加していることに危機感を募らせ、2009年に欧州理事会議長国となった際に欧州委員会に対し、野放図にしているソフトウェアへの規制対応を要求した。それをうけ、欧州委員会が2012年早期には、この取り組みの集大成として、ソフトウェアメーカーおよび規制当局がスタンドアロン型医療ソフトウェアにCEマークを付けるべきか否かを判断するために役立つ指針を公開する見込みだ。

医療ソフトウェアと患者の間には常に医師が介在しているが、医療従事者は特定のソフトウェアのある部分が背後でどんな計算をしているかを再計算し、検証するリソースを持っていない。その意味では、リスクがあふれているといえる。例えば、病院の情報システムに障害が生じ、患者に対する処方箋を医師が変更した後に、看護師のワークリストを更新できない可能性がある。医療従事者および患者は、ソフトウェアに依存しており、そのソフトウェアが安全であることを期待している。しかし、それを踏まえた上で、リスクだけでソフトウェアを医療機器とみなすこともできない。最終的には、クラス分類はソフトウェアが医療機器指令(MDD; 2007/47/EC)の範囲に入るか否かによって決まる。

現在この指令では、ソフトウェアが医療機器として分類可能であるとしているが、どのようなソフトウェアが医療機器の定義を満たすかについては明確にしていない。このためEU加盟国や指名入札期間の間で異なる解釈が生じ、企業にとって不公平感が生じてしまっている。2012年のガイダンスは、このような点を明確にするものと思われる。

機能に立ち返る

平均的な病院の情報システムには1000を超えるさまざまな機能が含まれている。一般に、これら機能のほとんどが運営や会計目的のもので、医療用途そのものに使用されているものは少数にとどまっている。したがって、システムベースのアプローチではなく、1つの機能が(ソフトウェアシステム全体でなく)それぞれ個別の機能、あるいはモジュール自体へのCEマーク付けが可能なはずであるとされている。

医療機器メーカーがCEマークを医療と医療以外の機能から構成される情報システムに適用したい場合、医療ソフトウェアコンポーネントの境界線が明確にされていなければならない。特にドイツなど一部の加盟国は医療機器にかかわるスタッフのトレーニング手順を記録するよう病院に要求しているため、慎重に行われる必要がある。

ソフトウェア機能が医療機器として適格であるか否かを判断する重要な要素は、メーカーによって定義されるその目的用途である。ソフトウェアプログラムは通常幅広い機能を含み、その一部が医療目的である。ソフトウェアシステム全体についての目的の用途に関する記述が一段落で済まされていることが多い中で、これら機能すべての使用用途を把握することは困難である。

したがって、ソフトウェア製品の法的適格性は各個別機能の目的用途に関連していなければならないということが示唆されている。ソフトウェアの多様な操作形態、つまりプログラム内での具体的な指示の分析に基づいていなければならず、特に使用説明書またはマーケティング資料の形式の使用方法と合わせて、それらも検討されなければならなくなる可能性がある。

医療機器メーカーは製品の乱用または誤用の責任を問われてはならないが、誤用が繰り返し発生する場合、メーカーは設計を変更するか、使用方法で適切な制限、規制、注意、警告を追加する必要がある。ラベル付けにかかわらず、医療目的を用途としていない製品が医療目的に繰り返し使用される場合、当局はメーカーに対し医療機器指令に従うように求めたり、製品を販売停止にしたり、別のソリューションを提供したりすることを要求する場合がある。医療機器で発生する誤用は国の当局に報告されなければならない。

期限厳守

医療ソフトウェアはワークステーションからインターネットへと急速に移行が進んでおり、規制の境界が重複しているため、国際整合化が緊急課題である。今年初めに、カナダ保健省は膨大なバリエーションを有するスタンドアロン型医療ソフトウェアを一つの文書にまとめようと試みた。「医療機器関連ソフトウェア - よくある質問」と題されたこの文書は、1月に発行され、多くの興味深い主題に触れているが、簡潔で明確な位置付けが提供されていない。

日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、モロッコ、台湾、シンガポールはカナダの例を踏まえて注目度の高いソフトウェアデバイスの多くについて見解を示しているが、中立的なものをどのように扱うかがまだ不明確である。

米国FDAは規制すべきソフトウェアを一貫して広範に捕らえているが、欧州ガイドラインはそこまで広範になると見込まれていない。米国連邦規制基準はソフトウェアアプリケーションを画像処理デバイス、血液バンクソフトウェア、薬剤計算装置、臨床用データデバイス処理モジュールなど広範に含んでいる。業界として我々は、医療ソフトウェア規制のグローバルな調和が公平な競争と患者保護の重要な鍵となると考える。

当局が規制を明確にすることを決定するか否かを問わず、国際規格はすでに存在する(IEC 62304、IEC 14971、IEC 80001-1)または作成中(IEC 82304-1)であるため、メーカーの安全なソフトウェアの開発は妨げられてはならない。これらの国際規格はメーカーが安全で効率的な医療ソフトウェアの開発と実装を確約するために何が必要であるかを定義している。

医療機器メーカーとしては、欧州ガイダンスが来年公表されるのを待って、ソフトウェアが医療機器指令の範囲に入るかどうかを見極める必要はない。国際規格に対する準拠性が入札で要求されることが増えており、ビジネスの観点からだけでなく、リスク管理と法的責任の観点からこれは理にかなっている。メディアの注目を引き付ける関心の高いオンラインソフトウェアの事例数の増加に伴い、一刻が争われている。

筆者:Koen Cobbaert
is Manager, Regulatory Affairs and Risk Management Processes, at Agfa Healthcare and Chair of the Software Taskforce of COCIR, the European Coordination Committee of the Radiological, Electromedical and Healthcare IT Industry. COCIR is located at Bvd A. Reyers 80, B-1030 Brussels, Belgium
tel. +32 2 706 8960
koen.cobbaert@agfa.com
www.cocir.org

 

本記事の初出は英文姉妹誌European Medical Device Technology2011年11月号。

カテゴリー: