マイクロブラスト工法によりステント技術が飛躍的に進歩

マイクロブラスト工法により 21 世紀のステントが実現

T. Whelan, Comco Inc., Burbank, California, USA S. Parmelee, Relucent Solutions LLC, Santa Rosa, California, USA

10 億ドル市場

競争激化とコスト意識が高まる昨今、医療サービス提供者は医療技術の費用削減と患者治療のレベル向上にますます力を入れている。1970 年代には突拍子もない考えと全く相手にされなかった血管ステントも、現在では低侵襲療法として定着し、費用削減・治療レベルの向上に貢献している。 whelan-450-px

 

人体構造は、ステント設計者に多くの難題を突きつけています。特に血管系は、人体構造の基本でありながら、人によってそれぞれ異なります。往々にしてねじれていたり、信じられないほど微小な血管があるため、カテーテルで到達困難な病変もあります。

にもかかわらず、費用対効果の高い低侵襲療法が継続的に求められており、ステントの使用はここ数年で着実に増加しており、人体の血管系のほぼすべての部位に適用されています。 このようなステント利用の拡大、医師や保険会社からの圧力、医療機器産業内で激化する競争などすべての要素が、ステントメーカーに設計と製造のあらゆる面での改良を進めさせているのです。 現代の製造法

現代のステントは 、1mm のミニチュア神経血管ステントから、胸部大動脈瘤および大動脈瘤の治療に合成血管と共に用いられる 50mm の大きい胸部ステントまで、さまざまなサイズがあります。多種多様な設計課題に対応するため、長年にわたり数多くの異なる材料が試されています。現代のステント設計に使用される一般的な材料は、ステンレス、コバルトクロム、ニッケルチタンなどの合金ですが、用途によってそれぞれに利点と欠点があります。通常ステントは、ワイヤから製造するか、チューブ材料をレーザー切断し、製造します。

金属チューブを利用したステントの場合、チューブへのレーザー切断が理想のパターンです。レーザーは長い年月を経て大幅に改良されてきていますが、この切断プロセスは、いまだにチューブ表面に酸化皮膜などの欠陥を作ることがあります。特にレーザー光線が拡散するにつれて、この兆候はより顕著になり、構造強化用の厚い管壁が必要な際におこります。後続の処理は、

それら表面の欠陥を除去することを目的に行われます。 従来、研磨された(光沢)鏡面仕上げを得るために、製造中ステントの材料の最大 30% が取り除かれていました。今日では、わずか 5% の材料除去を目標にした設計もあり、そうして作られたステントは以前と同じ高基準を保ちながら、除去される材料が少ないので最終完成品におけるばらつきを軽減できます。

化学ブラストおよびマイクロブラストのプロセスは、この酸化皮膜を除去するための標準工法です。化学プロセスは、すべての表面を均等に処理できるので、マイクロブラストの有効性が損なわれるような小型機能を持つステント設計に有利な場合があります。しかし、マイクロブラスト工法の利点は、異なる区域や表面によって材料除去操作を変えられる点であります。

また、ステントの小さい局所的な区域をピンポイントで処理することができ、特に困難な設計において有利です。例えば、ステント上の特定箇所のバリを取り、隣接する表面に当てないようにする必要がある場合や、レーザー切断面からより多くの材料を除去したり、内径面・外径面からは少しだけ材料除去する必要がある場合などに有効です。特にこのような場合に、マイクロブラスト工法は適しているといえます。

基本的なマイクロブラスト工法では、オペレータは、封鎖されたワークステーションの中で特注設計のスピンドルまたはホルダを使いステントを操作したり、ステントのサイズによっては、特別の視界増強装置を利用してステントを操作します。ブラストノズルを研磨する表面に向け、オペレータはフットペダルでブラストを起動します。空気圧と気流に放出される研磨剤の量は自動的に制御され、一貫して保たれます。 酸化皮膜と再溶融物の両方を取り除くためには、高精度のブラスト工程を必要とします。研磨しすぎるとジョイントが弱くなり、早期のデバイス故障につながってしまいます。この工程は通常、数千分の 1 グラム単位でステントから取り除かれる重量を測定することによって制御されます。

マイクロブラスト工法は、純粋で均質の微細砥粒を混ぜた清潔で乾いた気流を必要とします。気流はブラスト室の前部から加工対象物を回って、業務用集塵ユニットによってブラスト室の後部から抜き取られます。これにより作業領域を清潔に保ち、オペレータの可視性を最大化します。 マイクロブラスト工法のもう一つの利点は、使用できるブラスト研磨剤の多様性です。

アルミニウム酸化物と炭化ケイ素は、ステントの表面処理に使われる業界標準の研摩材ですが、さまざまなサイズで供給されています。研磨剤の砥粒サイズは、製品の属性と規格によって異なります。 研磨はステント製造における最終工程です。業界標準は電解研磨で、これは電気的に駆動される工程ですが、近年は化学工程も用いられています。表面処理と同様に、いずれの研磨法にもそれぞれの利点と欠点があります。ステント表面処理(化学またはブラストを問わず)およびステント表面仕上げ(化学または電解研磨を問わず)の目標は、表面の欠陥を低減かつ排除し、耐食性と疲労寿命を向上させたデバイスを生産することにあります。

将来の展望

1970 年代に「突拍子もない」馬鹿げたアイデアと言われてスタートしたステントですが、今や数十億ドルの産業となっています。医師や設計者が現世代のステントに改良を加え、新たな難題解決に取り組み続けることで、さらに障壁は取り除かれつつあります。より多くのツールとオプションが利用可能になった現在、ステント設計者とメーカーは、さらに高性能なステント設計を開発することができます。

ステントを専門にする請負企業の助けを借り、医療機器メーカーはこれまで以上に高品質、高性能の製品をより速く、よりコスト効率よく市場にもたらすことができるのです。

Tim Whelan works in Technical Sales at Comco Inc., 2151 N. Lincoln Street, Burbank, California CA91504-3344, USA, tel. +1 818 841 5500, e-mail: marketing@comcoinc.com, www.comcoinc.com Steven Parmelee is President of Process Development at Relucent Solutions LLC, Santa Rosa, California, USA, www.relucentsolutions.com

本記事は、Medical Device Technology および European Medical Device Manufacturer 誌の2009 年 9 月号に英語で掲載されました。 Copyright ©2009 Medical Device Technology