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ボジョレ・ヌーボー解禁に先駆けて

ボジョレ・ヌーボー解禁に先駆けて

Pulse_reportバブルの時代のパーティー気分とはいかないまでも、ボディーはワインよりしっかりしていて、ある業界の人々が心待ちにしているものがある。それは監査法人アーンスト・アンド・ヤングが発行する「Pulse of the Industry」。過去1年の医療機器産業のグローバル動向をまとめ、毎年ボジョレ・ヌーボーの解禁の数週間前に発表される。 今年で3回目となるこの報告書は100頁に及びが、今まで産業界や社会で成功を納めてきたビジネスモデルが少しずつ崩れてきていることが指摘されている。既存のビジネスモデルの崩壊については、既にEucomed会議などでも何度も指摘されてきているが、この報告書の序文でも冒頭でかなり強いトーンで語られている。 「数々の医療改革・制度改革が医療機器産業の長期的ビジネスモデルに極度の緊張を与えており、現在の事業運営について大胆に改革する必要性に迫られている」と記載され、「改革を改革する」が今回のバズワードとなっている。 また、医療機器産業界は「ヘルス・アウトカム・エコシステムの台頭」に備えなければならないと報告書は警鐘する。つまり、大量の製品をマーケットに供給するだけでは駄目で、どれだけ患者の健康状態を改善させヘルス・アウトカム(健康成果)を向上させるかということと同時に、そのシステムのコスト削減も図れるかが重要なポイントとなってくる。 米国に次ぐ世界第2の市場規模である日本については、政府の「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(2009年4月開始)や、各企業の積極的な海外戦略について紹介している。 事例としては、ニプロ株式会社のインド医療機器生産事業と人工腎臓向上の稼働計画や米Home Diagnostics社の買収、旭化成クラレメディカル株式会社の韓国での人工腎臓及び血液浄化関連製品の販売強化のための現地法人設立、オリンパス株式会社による内視鏡事業強化目的で肺疾患治療部品の米Spiration社の買収と米Beckman Coulter社への分析機事業売却など。 また海外企業による日本進出は、戦略的ビジネス連携をするケースが多く見られ、その例として、米TomoTherapy社と株式会社日立メディコによる日本での「Hi-Art(R)」がん治療システムの販売契約、独Fresenius Medical Care社が日機装株式会社に透析製品事業を委譲するケースなどを紹介。また、中国における旭化成や日立メディコの生産体制の強化についても触れている。 また、「成長市場をアジア・パシフィックへ求めて」と題した北畠一明氏(テルモアメリカスホールディング社取締役社長兼CEO)によるコラムも掲載されている。北畠氏は世界の人口の60%を占め、35%超の経済生産高を誇るアジア・パシフィック地域の今後の需要拡大に伴う事業展開の可能性に大きな期待を寄せている。 この他、2009年の欧米の業績については、「株式公開している医療機器関連企業の売上高は0.3%増の295百万米ドル。2008年の11%増と比較すると大きな落ち込みだが、経済状況や他業種の業績を考えれば驚くほどのものではない」としている。一方、純利益は前年比10.8%増で特に欧州企業の成長が牽引役となったという。 報告書全文(英語)はwww.ey.comのウェブサイトからダウンロードできる。

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