匂い検出可能ロボット開発:東大生産技術研究所

robot東京大学生産技術研究所、同先端科学技術研究センター技術研究組合BEANS研究所は、匂い物質を検知する膜タンパク質を細胞に特異的に発現させ、これを生体分子センサとしてロボットに取り付けることで、特殊な匂いに選択的に応答するロボットを開発した。細胞を利用したものとしては世界初。 将来的には、この研究結果を「介護ロボットに応用したり、ロボットに搭載するセンサのみならず、CO2、水素など大気中のガスや、水道水などに存在するATPなどの微量物質を高感度で検出できる環境センサとして利用できる」と東京大学生産技術研究所の竹内昌治准教授はその可能性について語る。「i-phoneの中にカートリッジ製の匂いセンサーを組み込むことも可能になっていくかもしれない」と言う。 従来の匂いセンサは酸化物半導体をベースにしたものが多く、用途や感度が限られており、普段人間が嗅いでいる体臭などの臭い物質を高感度に検出するのは難しかった。そこで本研究グループは、生物の匂い検出の原理に注目し、細胞に匂い受容体である膜タンパク質を発現させ、チップデバイス(画像参照)を用いて、それらの細胞が匂い刺激に対して発生する電気的変化を計測することにより、匂い物質を選択的に高感度で検出することに成功した。 匂い物質の検出には蛾の触覚にあるフェロモン受容体(3種類)とショウジョウバエの一般臭の臭覚受容体(1種類)を利用。これらの受容体を、ピンセットで扱いやすい直径1mmのアフリカツメガエルの卵母細胞で発現させた。卵母細胞は目的遺伝子のRNAを注入後、数日で目的の受容体を発現し始め、「1つのセンサの耐用時間は12時間程度」(竹内准教授)という。既に匂いをとらえるタンパク質は50種類作製したという。 デバイス化に際しては、2つの電極を最も効果的な距離に配置し、最適な角度(30度)と、流速という細胞導入の際の最適条件を導出し、ノイズも回避した。このセンサを組み込んだロボットにフェロモン刺激(匂い成分のはいった液体)を流し込むと、対応する受容体を持つ細胞が反応し、首のモーターを動かしてロボットが左右に首振り動作をする。通常ロボットには様々な電気配線があり、細胞が刺激に応答する際に発生する微弱な電気的変化は検出しづらい環境であるが、デバイス内に細胞を隔離することにより安定して計測できるようになったという。 本研究は、23日付けの米国アカデミー紀要(PNAS)に発表された。

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