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医療用創傷被覆材に埋め込まれたナノカプセルが細菌の存在時だけに抗生物質を放出

医療用創傷被覆材に埋め込まれたナノカプセルが細菌の存在時だけに抗生物質を放出

105204_Nanocapsules_fig1英国の科学者らが、欧州本土およびオーストラリアのチームと協力し、病気を引き起こす病原菌が検出された際にナノカプセルから抗生物質を放出する高度な創傷被覆材を作る取り組みを進めている。感染が起きる前に、抗生物質で治療効果を狙う。本被覆材は、抗生物質が放出されると変色し、傷に感染があればその旨、医療従事者に警告する。火傷の患者、特に子供の治療において、感染が致命的な状態を引き起こす毒素性ショック症候群につながる可能性がある場合、重要なステップである。本プロジェクトはバース(Bath)大学ウェブサイトのプレスリリースにも掲載されている。大学の研究者とブリストル(Bristol)のフレンチャイ(Frenchay) 病院サウスウェスト UK 小児科火傷センターの火傷チームがこのプロジェクトの英国からの参加者である。 欧州委員会が450万ユーロの資金を拠出した本取り組みは、4 年以上にわたりプロトタイプの被覆材を開発する独マックスプランクポリマー研究所(ドイツ)の Renate Förch 博士によってまとめられた欧州とオーストラリアに跨る11人の共同作業である。 このBacteriosafe プロジェクトには、化学者、細胞生物学者、臨床医、技術者が参画している。彼らは被覆材を開発するだけでなく、プレパイロット規模の製造プロセスで産業界とも連携するため、これらの被覆材はプロジェクト完了後、数年間で市販される可能性がある。英国では「通常、人の皮膚には皮膚を健康な状態に保つために必要な何十億の『善玉』細菌が住んでいる」とバース大学のプロジェクトリーダー、トビー・ジェンキンス(Toby Jenkins)博士は言う。「この被覆材は、抗生物質と染料を包含するカプセルを破壊することができる毒素を生成する病原細菌によってのみ引き起こされる。つまり、抗生物質が必要なときだけに放出されるため、MRSA などの抗生物質に耐性を持つ超細菌が生まれる危険が少ない」と博士は語る。 ブリストルの フレンチャイ病院のサウスウェストUK小児科火傷センターを拠点とする小児科火傷専門医、アンバー・ヤング(Amber Young)博士はプロジェクトの臨床コンサルタント。「このプロジェクトにとても興奮している」とヤング博士は言う。「日々、われわれが目にしている火傷で重傷を負った幼児たちにこの研究は非常に役立つ。皮膚が感染を起こすと従来の被覆材は取り除く必要があり、これが回復を遅らせ、子供たちを苦しめることがあるが、この高度な被覆材は傷が感染を起こしたときだけ抗生物質が自動的に放出されるため、治療を迅速化できる。被覆材を取り除く必要がないため、結果的に傷が傷跡を残さずに治癒する可能性が高い」とヤング博士は説明する。「色の変化は感染の存在を早い段階で警告してくれるため、われわれはかなり早期に治療ができ、子供たちの痛みを減らし、彼らが病院にいる時間を減らすことができる」と語る。 研究者らは、1ミリメートルの 100万分の1サイズのナノカプセルで被覆された材料を既にテスト済みで、特に有害な細菌に反応することが確認されている。今後4年間、欧州チームは適切な被覆材に変色技術を取り入れ、産業用生産のための費用対効果に優れたルートを見つける取り組みを進める。 本記事の初出は、2010年7 月 14 日付け medtechinsiderです 。 © 2010 Canon Communications LLC

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