細胞組織により近付いたフレキシブル電子装置

By: Heather Thompson

フレキシブルシリコン技術を使用した新型の埋め込み型デバイス。

フレキシブルシリコン技術を使用した新型の埋め込み型デバイス。

心臓内科医、材料科学者、生体工学技術者のチームが、現行デバイスを改良し、心臓の電気出力を測定できる新型の埋め込み型デバイスを作製・試験を行った。この新デバイスはフレキシブルシリコン技術を使用して直接組織に電子回路を適用できる。

「この技術が、体の多くの領域におけるアプリケーション向けのアクティブでフレキシブルな埋め込み型デバイスの新たな世代の始まりとなると考えている」とペンシルバニア大学医学部神経学准教授・工学・応用科学部生体工学准教授ブライアン・リット医師は言う。「当初、我々は発見したことを不整脈の場所を突き止め、その治療用のデバイス設計に応用する計画でした」。リット医師は、これらデバイスによって医師が迅速、安全、かつ正確に心臓の異常部位に狙いを定めて破壊することができると考えている。 「この新しいデバイスは電子回路をリモートに配置するのではなく、密封された缶の中に入れてそれを鎖骨の下や腹部内など体内のどこかに配置し、組織に直接適用することができる。これによりデバイスは組織で直接信号を処理でき、現在の医療機器で可能な数よりはるかに多くの検出用または刺激用の電極を搭載することが可能」と言う。 生命に危険を及ぼす不整脈をマッピングし、排除するための現在の技術は、心臓と心臓周辺で動かされ、標的組織から離れたリジッドシリコン回路に接続されたカテーテル内に最大10本のワイヤを許容する。このような設計は、電子装置が濡れたり、標的組織に触れたりすることが不可能なため、デバイスの複雑さと分解能を制限する。 対照的にこの回路デバイスは、288 の電極を埋め込んだナノスケールのフレキシブルシリコンリボンから成り、数百の端子と 2000 のトランジスタの格子様アレイを形成している。形状は組織を包み込み、限られた時間と空間内で電気的アクティビティをより大きな分解能で測定することが可能。このデバイスは体液に曝露されていても動作でき、高速で大量のデータを収集する。 研究者らは豚の心臓でデバイスの試験を実施した。その発見の POP(原理証明、proof-of-principle)が Science Translational Medicine で最近発表された。「我々は、たとえばてんかんや異常動作のような脳疾患の治療など、多くのほかの種類の医療用途にこの技術を利用することを希望している」とリット医師は語る。 チームは心臓発作やその他疾患によって弱くなった心臓のポンプ機能を高める先進的なペースメーカーの設計を計画している。これら用途のそれぞれにおいて、研究者たちは人での臨床試験を行う前に動物でフレキシブルデバイスをテストする実験を進めている。 研究のもう1 つの焦点は、ビニルシートのようにフレキシブルなだけでなく、高い伸縮性を持つ類似のデバイスの開発である。湾曲した組織の大きな区域に完全に合わせて包み込むことができるデバイスは次の大きなステップとなるかもしれません。次世代への移行は電源を付加することが要求される。 この研究は、デバイスにおけるフレキシブル電子技術の開発と製造を行った Rogers laboratory と、リット医師のペンシルバニア大学生体工学実験室のコラボレーションの成果である。本研究は、国立神経疾患・脳卒中研究所、クリンゲンシュタイン基金、てんかん治療プロジェクト、ペンシルバニア大学工学部および医学部による資金提供を受けている。 本記事の初出は英語のMD&DI、2010年5月号。 Copyright © 2010, Canon Communications LLC

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