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共押出マイクロ チュービングの利点

共押出マイクロ チュービングの利点

共押出チュービング製品は、複数の材料の組み合わせを通して追加機能を提供し、二次アッセンブリ加工を促進します。この記事は、共押出マイクロ チュービングが問題を解決し、重要な利点を得ることができる 4 つのアプリケーション: 輸液療法、局所麻酔、微小透析、非経口的栄養補給について説明します。 R. Ziembinski RAUMEDIC AG(ドイツ 、 ヘルムブレヒツ) 押出成形プロセスの進歩 共押出成形技術の主要な目的は、営利的目的を除き、チュービング製品の機能性を高めることにあります。結果として得られる設計可能性の向上、複数のポリマー材料の組み合わせおよびそれによる追加機能の統合、そして二次加工およびアセンブリ プロセスの減少などの利点が、この技術を興味深いものにしています。共押出成形とは、複数(3~4)層の材料を同時に押出し、多層チューブを製造する技術と定義することができます。下述するマイクロ押出成形は、直径 1 mm 未満のマイクロ チューブの押出成形です。本記事では、両押出成形プロセスをどのように組み合わせれば良い効果を得るかについて説明します。 多層押出成形とマイクロ押出成形 薄膜製造分野における多層押出成形は、機械およびツール技術にとってもはや大きな挑戦とは言えなくなりました。しかし、微小寸法チューブの製造における複数のポリマー層の共押出成形は、多くの場面において技術者にとっては比較的新しいプロセスです。特殊なマイクロ押出成形ラインで、最大 3 つの異なるポリマー材料を用い、様々なアプリケーション用の多層チューブを製造することが可能になりました。この技術を用いれば、約 0.05 mm (50 μm) 程度の肉厚で最小チューブ内径は約 0.1 mm (100 μm) が可能です。これに用いられるマイクロ押出機は、流速 50 g/h 程度の少ない押出質量で動作できます。 原則上、共押出成形の用途に適したポリマーの範囲には制限がありません。しかし、特に関心が高いのは、ヘルスケアのアプリケーションにおける用途が長期間にわたり確立されている熱可塑性プラスチックです。熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、可塑化ポリ(塩化ビニル)(PVC)などが含まれます。ポリエーテルイミドやポリエーテルエーテルケトンなどの高温熱可塑性プラスチックもマイクロ押出成形による加工に適しています。これらの材料は、その優れた機械的性質のため、金属材料の代替材料とみなされています。 数々の潜在的なアプリケーションがありますが、次の 4 つの開発は医療機器技術における共押出成形とマイクロ押出成形の重要性の高まりを表しています。 輸液療法 鋭敏な活性成分用の医薬品適応輸液チューブには、通常軟質可塑化 PVC が用いられます。これは低コストで加工が容易な材料であり、数十年に渡り使用され続けているため、軟質輸液ライン用に選択されています。特にチューブ セット内の別のポリマー コンポーネントへの PVC 溶剤接着の比較的簡単なプロセス、および殺菌に対するその便利な性質が、この分野における PVC の優勢をサポートしてきました。今日でも輸液チューブ全体の 90% が可塑化 PVC から製造され続けています。 しかし、特に癌科向けで非常に効力のある医薬品の開発は、PVC チューブと活性成分の適応性に関連する問題を引き起こしています。インスリン、ニトロ グリセリン、細胞増殖抑制癌治療薬など多くの鋭敏な物質が PVC チューブの表面で吸収されてしまい、必要な投与量の一部しか患者に到達しなくなります。活性成分の喪失はよく知られた問題ですが、臨床診療では往々にしてあまり注目されていません。 正反対の点からは、好ましくない副作用が反対の影響によって引き起こされます。つまり、多くの場合において輸液が可塑剤とその他 PVC 添加剤を相当量溶解してしまい、患者の体内に進入します。これは特に輸液が PVC から簡単に可塑剤を吸着してしまう脂肪性の物質や、脂質様の溶解剤を含む場合に発生します。

 優れた薬品適応性を有する LDPE 内層、接合剤としての EVA 中間層、軟質 PVC 外層。

図 1: 3 層不活性輸液チューブ: 優れた薬品適応性を有する LDPE 内層、接合剤としての EVA 中間層、軟質 PVC 外層。

多層チューブは吸着の問題を克服します。最も一般的に使用されるレイヤー構造は、内部に低密度ポリエチレン (LDPE) 層、エチレン酢酸ビニル (EVA) 接合層、PVC 外層を含みます。LDPE は流体媒質との接触において完全に中性です。溶剤から物質を吸着して活性成分が失われることも、ポリマー材料から物質が入り込み、輸液が汚染されることもありません。EVA 層は LDPE と PVC 間の接合層として作用します。この層がないと 2 つの材料が共押出で相互にしっかりと接合されません。可塑化 PVC 外層は、輸液チューブ セット完成品の製造者が、接合、パッケージ、殺菌など、標準の PVC チューブと同様の必要な全プロセスを実施できるよう確約します。輸液とチューブ材間の不適合性の問題に対する製薬会社および医療従事者の意識の高まりが、この輸液療法用の非常に特殊な多層チューブの更なる成長に繋がるはずです。 局所麻酔 整形外科などで一般的に使用される特殊な局所麻酔は、全身麻酔の危険と不快な影響を排除することができます。この方法では、微小なカテーテル チューブが小さい金属カニューレを介して、脊椎の神経チャネル(脊髄チャネル)に挿入されます。脊髄チャネル中の特定のポイントに局部麻酔を注入することによって、手術中患者の意識を完全に保ちつつ、このポイントより下の全身体部分の麻酔を達成することができます。 カテーテル材料の需要は多岐にわたります。チューブは極めて小さい寸法でなければならず(例えば  0.35 x 0.6 m)、かつ脊髄内のいかなる神経にも損傷を与えることがないよう十分な柔軟性がある必要があります。また、チューブが挿入される際に、脊椎骨の間の狭い半径を通り抜けられるように、特に優れた耐キンク性(15 ~ 35 mN)を有する必要があります。麻酔薬の供給の中断に繋がることがあるため、チューブがこのプロセス中にねじれないという点は不可欠です。さらに、チューブは内腔中の流体を目視によって確認できるように、高レベルの透明性が必要です。当然、殺菌に対する適応性や生体適合性などのその他のパラメータも確認する必要があります。 これら要件は、ポリアミド内層とポリウレタン外層から成る二層チューブで達成できます。これら材料は、共押出成形プロセス中にしっかりと永久的に相互に接合されます。この材料の組み合わせの独特なアプローチは、ポリアミド層がチューブの機械的強度、特に耐キンク性を提供することを意味します。ポリウレタンは容易に長さのマーカーをプリントでき、また体液および組織に接触した時の優れた生体適合性を備えています。 このカテーテルを研究する技術者にとって、管壁に埋め込む必要がある X 線造影ストライプの押出成形は特に困難な挑戦でした。X 線造影剤を充填したこれらストライプの直径は 0.04 mm (40 µm) で、人の毛髪の幅(およそ 100 μm)の半分以下です。適切な押出ツールの構築は、精密工学における極めて困難な挑戦です。 微小透析用二重管 微小透析は、血液溶質の継続的定量分析において新たな機会を切り開きます。この方法により、患者から血液試料を採取する必要はなくなります。その代わりに、薄膜(中空の繊維)を介して測定物質を血液から拡散させ、その後一般的な分析方法を使用して測定します。すすぎ溶剤は通常、生理食塩水溶液を用います。血液溶質の拡散は、血液とすすぎ溶剤の間で平衡濃度が達成されるまで、浸透圧作用の結果として透析と同じように達成されます。

 診断用微小透析カテーテル。

図 2: 診断用微小透析カテーテル。

技術的解決策は、透析膜へのアクセス用の小窓をカットして設けたポリアミド、またはポリウレタンから作られた二重管カテーテルによって構成されます。カテーテルは U 字形で、すすぎ溶剤の流れが先端で「中断」されて、食塩水が分析用の溶質を取得した後に分析装置に戻されます。これにより、患者から大量に血液試料を採取する必要なく、連続した測定が可能になります。マイクロ カテーテルは一般的な静脈カニューレを介して挿入されます(図 2)。 非経口的栄養補給 未熟児(新生児)の生命維持は過去数十年間にわたる薬品と医療技術における進歩を示す良い例です。ほんの数年前までこれら新生児の生存率は低いものでしたが、最適化された経腸栄養療法と換気装置により、今では多くの子供たちが救われ、身体障害もなく完全に正常な生活を始めています。ここでは医療技術が大きな役割を果たしています。 ziembinski3-600px小さな子供の治療向けに最小寸法の製品の製造を専門にしたメーカーもあります。子供の静脈は非常に小さくデリケートなため、従来のカテーテルでは全く合いません。例として、図 3 に静脈カニューレとして一般的に使用される X 線造影ストライプを備えたサイズ 24 ゲージのポリウレタン カテーテルを示します。管壁は幅 0.1 mm です。 更なる発展 マイクロ押出成形技術と多層共押出成形は、現在の製品よりさらに微小な寸法の新しい医療機器を製造する新たな機会を提供します。近い将来、データ伝送に用いることができる薄い金属ワイヤを備えた共押出チューブなど、更なる発展が期待されます。 Ralf Ziembinski 博士。 RAUMEDIC AG社 コンピテンスチーム チュービング研究開発責任者。(会社所在地: Hermann-Staudinger Strasse 2, D-95233 Helmbrechts, Germany、電話+49 92 52 359 2880email: ralf.ziembinski@raumedic.com www.raumedic.de 本記事は、Medical Device Technology 2009 年5/6 月号に英語で掲載されました。 Copyright ©2009 Medical Device Technology

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