英医療機器産業でのM&Aは2013年も増える見通し

ゲストブロガー: James Knott, Catalyst Corporate Finance

昨年2012年の全世界の医療機器産業界におけるM&A案件数は、前年比31%増と加速した。しかし買収額は262億ポンド(約2兆3千億円)から155億ポンドに下落。これは2011年に実施されたジョンソン&ジョンソンによるSynthes社の買収(122億ポンド)など複数あった大型案件が減少したため。ちなみに2012年におけるM&A最高額は、Hologic社によるGen-Probe社の買収23億ポンドだった。

医療機器市場は今年も引き続き成長基調は続くものと思われるが、発展途上国よりも高齢化が進む先進国が今後の成長を牽引していくと考えられる。こうした国々の厚生労働省は、ますます増加する患者への対応と緊縮財政のやりくりとの板挟みになるのは必至で、医療産業界で最も望まれるソリューションは、効率よく低コストを実現するようなソリューション分野だといえよう。

英国企業が今後も魅力的な買収対象に

英国を拠点とする企業が買収された案件は、2011年は9件だったが2012年には23件に上昇。この急上昇の背景には、2013年4月1日より英国において“Patent Box”と呼ばれる法人税優遇制度が施行されることとなり、英国企業は所定の特許から得た利益に対して現行25%の法人税率が最大10%まで引き下げられる可能性がでてきたことが大きい。

また英国企業によるさまざまな新技術の開発も魅力的な要因だ。一例をあげると米ConvaTec社による英Trio Healthcare International社の買収がある。Trio Healthcare社は未上場の人工瘻ケア関連器具を専門としている英国の企業だが人工瘻ケアでの製品群が豊富なため、この分野強化をはかりたいConvaTec社が目をつけたといえる。

M&Aを加速しているのが技術革新(イノベーション)だ。大企業は社内で膨大な資金を投じてR&Dを実施するよりも、社外に新しい技術を追い求める傾向が多くみられる。これは市場ニーズへの迅速な対応を迫られる大企業が、短期的には多大な出費となっても長期的にはコスト安となるM&Aに走る理由でもある。

戦略的買収ターゲットとしての注目はBRICs

高成長が見込まれるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は引き続き魅力的な投資国ではある。これらの地域へのM&A案件は2011年では世界全体の取引数の5%だったが2012年には約2倍の9%に到達。これは先進国の企業が発展途上国市場に参入する際に、自社で子会社を設立するよりも現地の企業を買収する方法が多いことの現れでもある。

大手企業が引き続き積極姿勢

大手の医療機器メーカーによるM&Aは昨年に引き続き今年も増える見込みだ。前述のように手っ取り早く最新技術をものにするには企業買収という手段は効率的で、プライベート・エクイティ・ファンドもこうした動きに敏感に対応している。

2013年の展望

今年もM&Aがますます活発化すると思われる。特に最新技術開発の面で進んでいる英国企業への投資は国内外からも積極化することが予想される。