スキル格差拡大で先進国の製造業職に多数空席

世界経済フォーラム(World Economic Forum)とデロイト トウシュ トーマツ リミテッドが4月25日に発表した共同レポート「製造業のゆくえ」(The Future of Manufacturing: Opportunities to Drive Economic Growth)によると、将来的に製造業ではグローバル人材をめぐり、熾烈な競争が繰り広げられることになるという。

同レポートでは、スキル格差の拡大のため、現在、世界で1千万人の製造業の職に空席があると試算している。人材不足は蔓延化しており、先進国の多くで失業率が高いにもかかわらず、製造業界においては高度な訓練を受けた人材や技術者などの補充に苦戦を強いられていると報告している。同時に新興国では、熟練技術を有する労働者が増えなければ、成長の促進が難しいと指摘している。

例えば、2011年の調査では、34%のグローバル起業が人材難による雇用不足を指摘しており、2010年の31%よりも上昇している。日本企業(80%)、インド(67%)、ブラジル(57%)、米国(52%)が今後も人材不足に悩まされるだろうと報告書は指摘。特に米国製造業の中では自動車関連企業の77%が将来的不安を抱えていると回答しているが、ライフサイエンス・医療機器業界でも62%の企業が人材不足を憂いている。

「The Future of Manufacturing」レポートは、学術、産業文献や30件以上の製造業者・学者・政策担当者へのインタビュー、バーチャルタスクフォース会議を含む、一次調査および二次調査を一体化させた1年間に及ぶ取り組みの成果。加えて、対面型グローバルワークショップを7回実施し、産業・政策・学術分野の各ステークホルダーから、本レポートに対し情報を提供を受けて作成されたもの。

「今日存在するスキルの隔たりはすぐには解決されないだろう。このことは、科学者、研究者、技術者から技師・熟練工に渡るまで、高度なスキルを持つ人材をひきつけ、育成し、維持する企業や国が、頂点に立つことを意味している」同レポートの執筆に関与したクレッグ ギッフィ(Craig Giffi, 米国デロイト&トウシュLLPの副会長兼コンシューマー&インダストリープロダクト業界リーダー)は語った。