「デジタル錠剤」時代の到来か?

プロテウス社の開発した内服薬に添付可能なセンサー。

 

米国の食品医薬品局(FDA)が、体内に服用するセンサーを新しいタイプの医療機器として認可して大きな話題になっている。

申請していたのはプロテウス・デジタル・ヘルス社(以下、プロテウス社)という米カリフォルニア州の会社で、砂粒ほどの大きさセンサーを服用する薬に混ぜると、胃に到達した段階でセンサーが信号を発するという「デジタル錠剤」。このほど全く新しいタイプ医療機器としてde novo 510(k)の承認を受けた。

 

このデジタル錠剤が発する信号を、患者の皮膚に貼り付けているパッチが受信し、それをスマートフォンのアプリやモバイル機器などに送信して、薬が摂取されたことを確認する仕組み。薬の摂取状況だけでなく、心拍数などのデータも同時に送信でき、体の状態を医師や家族などとシェアすることも可能という。糖尿病患者や、統合失調症、アルツハイマー病の患者など長期にわたって薬を服用しなければならない患者の治療経過の観察、あるいは臓器移植後の患者の予後観察などに活用できると期待されている。

ソーシャルネットワークLinkedInでデジタルヘルスグループを統括しているPaul Sonnier氏は、このデジタル錠剤の登場を絶賛。「プロテウス社の技術は画期的、先駆的技術で、デジタルヘルスが我々の健康管理やヘルスケアのあり方を飛躍的に向上するだろう」と語っている。

このセンサーの大きな特長は、バッテリーを内蔵していないこと。薬につけるセンサーはシリコンチップでできており、微量のマグネシウムと銅が含まれているため、患者が錠剤をのむと、胃の内部で胃液と反応して電圧(ガルバノ電池)を発生し、センサーに給電する仕組みになっている。

ちなみに、このデジタル錠剤は欧州連合では2010年に承認がおりており、今年中に英国での発売が予定されている。英国のLloydspharmacy社と提携し、同社の販売ネットワークを活かし、商品名Heliusで販売する。

一方、日本国内では今月6日に、大塚製薬株式会社が、プロテウス社と新カテゴリーの医薬品の開発・商業化に向けて、同社技術のグローバルなライセンス契約を締結している。両社は、大塚製薬の保有する医薬品に関し、プロテウス社が保有するセンサー技術を用いた新しい医薬品の開発を行なっていく。この契約により、大塚製薬は、アンメット・メディカル・ニーズの高い2つの領域での、プロテウス社の技術を用いた医薬品の商業化に関し、独占的なライセンス権を取得し、 大塚製薬は、研究開発段階において、プロテウス社の技術を使用する権利を受け取ることになる。

「デジタル錠剤」の今後の行方が楽しみだ。

 

プロテウス社(旧社名:プロテウス・バイオメディカル社)の体内服用センサー開発の経緯などに興味がある方は、弊誌英文姉妹誌に詳しい記事をご覧下さい。The History of the Proteus Ingestible Sensor on www.mddionline.com.