米を代表する建築家マイケル・グレイヴス、病室の設計に腐心

 

ポストモダン建築を代表する米国の建築家マイケル・グレイヴスだが、建物だけでなくインテリア、キッチン用品などの製品デザイン、グラフィックデザインなど幅広く手がけている。そのモダニズム建築家が今最も力を入れているのが病院の設計だ。

 

「既存の病院の設計はなっていない」と先月末にサンフランシスコで開催された2012年健康フォーラム&AHAリーダーシップサミットで発言。病院は豪華なアトリウム式ロビーなど作ってホテルの真似をするのではなく、患者目線で設計すべき」と強調した。何故、そんなにも病院に熱を入れているかといえば、彼自身の体験が影響しているといえよう。グレイヴス氏は2003年に院内感染から下半身不随になり、療養のために病院を8カ所も転々として、いかに病院のヘルスケア施設が患者のことを無視しているかを身をもって体験している。

「人間重視:病院・病室を再設計する」と題した講演の中で、いきなり自身が半身不随になって車椅子で病院のトイレを利用してみて、はじめて鏡の高さ、洗面台からスイッチまで身体障害者やリハビリ患者の視点にたって配置されていないことに気づいたと発言。特に院内感染のような事象を防ぐための設計の必要性を訴えた。例えば、ベタベタのパーティクルボード・テーブルの写真を見せ、テーブルを抗菌性の銅で作ることを提案。グレイヴス氏のオフィスは家具の取っ手はわざと大きくデザインして、掴むポイントも一カ所に限定し、凸凹など洗浄が必要な箇所を出来る限り排除しているという。

現在、グレイヴス氏は、20名のヘルスケア設計者から構成するチームを率いて、「ホテルっぽくない、本当の良い病院」をめざして設計を進めている。例えば、ストライカーメディカル社とは共同で感染予防・患者落下防止・臨床医の腰痛防止などをめざした病室の家具シリーズを考案中だという。

 

本記事の初出は姉妹誌EMDTの2012年8月12日付けのDaily Buzz