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水素エネルギーを医療・福祉機器に

ByMEDTEC Japan編集部

クリーンで無尽蔵に利用できる新たなエネルギーとして水素が期待されている。しかし、水素エネルギーが化石燃料の代替として普及するには、水素を大量・安全・低コストに生産し、貯蔵、使用するシステムづくりが求められる。京都大学工学研究科の平尾一之教授の研究室では、ナノテクノロジーを生かして水素などの新たなエネルギー材料を研究している。国際福祉機器展(HCR)2016(10/12~14@東京ビッグサイト)では、共同研究を行っている水素燃料電池と応用例として電動車いすを展示した。

燃料電池(右写真)を提供するのはアクアフェアリー株式会社(本社:京都市)。従来の燃料電池では高圧で水素を圧縮したボンベなどが使われているが、同社の燃料電池では高圧ボンベを使わず、水素化カルシウムに水を加え必要なだけ水素を発生させる。水素の発生及び利用する際の圧力が低いため安全性も高い(約0.2気圧)。

平尾研究室では、上記にさらにアルミニウムを加えて水素発生を行い、その反応残渣をレーザ処理によってリサイクルすることで究極の循環型エネルギー源の開発を目指している。

アクアフェアリーの燃料電池はタンク2本で駆動し、電気容量は1200 Whr(燃料タンク1本あたり600 Whr×2本)で最大出力100Wを発揮。タンクが2本あるため、2本目を使い終わるまでに1本目を交換すれば継続発電が可能。重量はおよそ7kgに収まり、同じ容量の鉛蓄電池等に比べて1/4以下で、持ち運びがしやすいことも特長だ。

非常用電源や電源がとれない場所での独立電源などでの用途が考えられる。また、排ガスがなく騒音もないというメリットを生かして、医療や福祉機器での使用も検討されている。ブースで展示した電動車いす(左写真)の他、透析機器や人工呼吸器などの非常用電源として応用可能性があるという。

展示した電動車いすは産業機器メーカーであるキシ・エンジニアリング株式会社(本社:島根県出雲市)との提携により試作した。リフト付きのため美術館などでは立って見る人と同じ視線の高さで作品の鑑賞ができる。燃料電池を発電機として使い、常時充電しながら車いすを使用するため、充電なしに長時間の動作が可能であり、燃料タンク交換も1週間に1度程度で済む。

アクアフェアリーではこのような応用例を示して燃料電池のメリットを広く訴えるとともに、様々な業種で新たなニーズを探っていきたいと考えている。

アクアフェアリー株式会社:http://www.aquafairy.co.jp/
キシ・エンジニアリング株式会社:http://www.kishieng.co.jp/

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