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米国大統領選挙結果が与える医療機器業界への影響

米国大統領選挙結果が与える医療機器業界への影響

オバマ大統領の勝利は、Affordable Care Act (ACA;医療費負担適正化法) を廃止しようというロムニー氏の夢を打ち砕いたが、ACA反対派は米国連邦議会で医療機器税 (売上税) の撤回を引き続き訴えていくだろう。

Jamie Hartford

2012年米国大統領選挙は、基本的には連邦政府が現状を維持していくという結果をもって幕を閉じた。結果は皆さんもご存じの通り、バラク・オバマ (Barack Obama) 氏が大統領再選を果たし、民主党が上院で過半数を保持。共和党は下院をコントロールして行くという図式に変わりはない。この状況は、医療機器業界にとって、医療機器(売上)税の実施が足踏み状態になるであろうことを意味する。

「オバマ大統領が再選し、議会の上下両院での多数派の分裂状態が今後も続くことにより、この法律を取り消すにせよ修正するにせよ、そうした努力は残念ながらなかなか実を結ばない可能性がある」と語るのは、ミシガン州内の医療機器会社30社以上が共同運営するウェストミシガン医療機器協会 (the West Michigan Medical Device Consortium) のDon Beery事務局長。「現時点では、我々はこの法律と税がそのままの内容で施行されることを前提としなければならない」と氏は弊誌姉妹誌MD+DIの取材にメールで回答している。

他の業界団体も、2013年1月1日から実施されることになっている医療機器の売上に対する 2.3%の課税について、同様の冷静な予測を表明した。

「連邦レベルでの大きな変化がない限り、我々の会員に影響を及ぼす今回の医療機器に関わる消費税のような医療保険制度改革法をめぐる問題は存在し続けると予想される」(ミネソタ州に本拠を構える医療技術貿易協会 Lifescience Alley のマーケティングおよびコミュニケーション担当責任者、Ryan Baird氏)

一方、米国医療機器製造業協会 (Medical Device Manufacturers Association、MDMA) の Mark Leahey 会長兼最高経営責任者 (CEO) は、「選挙結果は、米国民が自分たちの経済が直面している課題に対して超党派的解決策を望んでいることを示した。そして、選出された議員たちは、(医療機器の技術)革新と雇用創出のために障壁を取り除く必要がある」と語る。「医療機器税を取り消すことによって、超党派の解決ができるという好例を示すことができるわけで、MDMAは引き続きこの目標実現に向けて鋭意努力していく」(Leahey氏)と意気込む。

また、ミット・ロムニー氏の落選により、2013年1月20日に開催される新大統領就任式で、彼の掲げた「医療費負担適正化法 (ACA)—医療機器税も合わせて—の撤回」の公約を果たせないわけで、そのような観点から見れば、業界にとって今年の選挙結果は歓迎すべきことだったとも言える。少なくとも業界は選挙結果を通じて、今後4年間に何を期待できるかをある程度知ることができたといえよう。

2012年の大統領選挙結果は医療業界に何をもたらすかについてのプライスウォーターハウスクーパース ヘルスリサーチ研究所報告 (PwC Health Research Institute report) では、「不確実性に慣れている医療機器業界にとって、2012年の選挙結果はACAを支持した昨夏の最高裁判決と相まって、米医療システムの将来に関して今までの中で最も明確なビジョンをしてくれた」と記されている。

今回選出された議員の中で医療機器業界の主要支持者は、Erik Paulsen 下院議員 (R-MN)、Amy Klobuchar 上院議員 (D-MN)、Orrin Hatch 上院議員 (R-UT)、Fred Upton 下院議員 (R-MI) など現職の連邦議員がおり、これらの議員は全員医療機器税の撤回を支持している。

Scott Brown 上院議員 (R-MA) は、上院で医療技術委員会を共同設置するなど医療技術業界にとって頼りになる支持者だが、民主党候補者 Elizabeth Warren 氏に敗れた。しかし Warren 氏も、実は医療機器税の撤回を求めている。「我々は Scott Brown 上院議員という実に強力な味方を失ってしまったのだが、Warren 氏が新上院議員として奮闘を続けてくれていることを期待している」と語るのはボストンを拠点とする業界団体 MassMEDICのTom Sommer 会長だ。

上下院の「ねじれ」現象により機能不全に陥った議会の次の会期で、医療機器税が消されでもされない限り、業界にとって同税を撤回させる最善の策として考えられるのは、その目標に向かって議会の支持者との協力をつけることしかない。

「業界、さらには我々の製品やサービスにより生活が改善した数十万人の患者がこの会期中に一致団結し、声を上げて主張する必要がある」と、南カリフォルニアに本拠を置く業界団体 OCTANe の Matthew Jenusaitis 会長兼CEOも述べている。

「声を出して主張することで、過去数年間に多くの前進につながってきた。そして、さらに前へと進み続けるための猶予はまだ残されている」(Jenusaitis氏)。

 

 Jamie Hartfordは、姉妹誌MD+DIのアソシエートエディター。本記事の初出はMD+DI(2012年11月7日付け

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