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FDAのPre-IDEプログラムに代わる新ドラフトガイダンスについて

FDAのPre-IDEプログラムに代わる新ドラフトガイダンスについて

米国食品医薬品局 (FDA) は、17年前に医療機器の臨床試験に対する承認審査方式の改善を支援するため、Pre-IDEプログラム(治験相談に相当)を導入したが、Pre-IDEに代わる新たなドラフトガイダンス(Pre-Submissionプログラム)を発表した。本記事では新プログラムに関する説明、当局職員との議論(会議)の方法などに関する最新情報を盛り込んで、新ドラフトガイダンスの重要ポイントについて検討する。

Maria Donawa

米国で1995年に Pre-Investigational Device Exemption (Pre-IDE:治験相談に相当)プログラムが導入された当時は、Investigational Device Exemption (IDE:治験用医療機器に対する適用免除) 申請に対する承認比率の増加と本来のIDEの承認にかかる時間の短縮を目的としていた。

IDEは、21 Code of Federal Regulations (CFR;連邦行政規則集) 812 に規定されているように、安全性と有効性のデータを収集するために臨床試験において治験用医療機器を使用することができるとしている。「IDEプログラムの目標と構想、No.D95-1 (ブルー ブック メモランダム)」の覚書で、FDAは1994 会計年度には本来のIDE申請の27%しか最初の審査期間中に承認されなかったと述べている。 また、申請が受理されてから承認までにかかる平均日数も、過去5年間の178日間から242日に増加した。これらの問題に対処するため、政府当局は、Pre-IDE会議、Pre-IDE Submissionおよび、双方向性のある審査プロセスを盛り込んだPre-IDEプログラムを導入したのである。

1999年、FDAは「Pre-IDE プログラム: 問題と対策 – 1999/03/25 (D99-1)」という別の覚書を発表。そこには、同プログラムを実施以来、FDA Office of Device Evaluation (ODE:FDAの下部組織)は年間約200件のPre-IDEを受理し審査を実施したと報告されている。

プログラムの成功が宣言されたにもかかわらず、政府当局が明らかにしたところによると、プログラムは非常に面倒で時間がかかるため、将来の利用には消極的との苦情も業界からいくつか受けたという。

まるでPre-IDEプログラムの中に「閉じ込められている」ようで、FDA によって提起された問題のすべてが解決されるまで、正式なIDEの申請書を提出することができなかったと苦情を訴える治験依頼者もあった。これらおよびその他の苦情に対応するため、1999年の覚書(Pre-Submissionドラフトガイダンスが確定するまで有効)では、Pre-IDEプログラムの目的を明確に示し、どのような場合にプログラムを利用するのが妥当かや、Pre-IDEプログラムの手順、治験依頼者と FDA の責任についても説明している。

Pre-IDEプログラムの範囲は、長い年月のうちにPre-IDE会議、Pre-IDE SubmissionといったIDE申請の域を超えて、大幅に拡大した。たとえば当局の審査官が、市販前の承認申請についての詳細説明要請はPre-IDEプログラム下で管理すべきだと判断する場合もある。そう判断された場合、その要請はPre-IDEのデータベースに入力され、申請担当者はFDAが60日以内に回答しようとしているとの通知を受けることになる。ちなみにこの60日以内という時間枠は、FDAの方針により定義されているのであり、法律や規則で義務付けられているわけではない。

 

有用な新ドラフトガイダンス
2012年6月13日、FDAは新しいドラフトガイダンス「医療機器: Pre-SubmissionプログラムとFDA職員との会議」を公布した。この新ドラフト ガイダンスは、FDA の公式ウェブページ」www.fda.gov/MedicalDevices/DeviceRegulationandGuidance/GuidanceDocumentsから閲覧することができる。注目すべきは、ドラフトガイダンスに関するコメントをいつでも提出することができる点である。 ただし、ガイダンスの最終版に着手するまでコメントに対して充分な検討を行えるよう、インターネットを通じた、または書面でのコメントは、2012 年10月11日までに提出することになっている。

ドラフトガイダンスの目的は、将来のIDE申請に備えてその提出前にFDAからのフィードバックを得られるだけでなく、Premarket Approval (PMA:市販前承認) の申請、Humanitarian Device Exemption (HDE:人道機器に関する適用免除) の申請、Premarket Notification (510(k):市販前届出) の提出においても FDA のフィードバックを得ることができるメカニズムを構築し、特定機器に関するその他規制への質問にも対応できるよう、Pre-IDE プログラムを更新することにある。 また、Center for Biologics Evaluation and Research (CBER:生物学的製剤評価研究センター) により規制されている機器も含まれるよう、プログラムの範囲も拡大される。そうした努力の結果、ドラフト ガイダンス名もPre-IDE プログラムから Pre-Submission (Pre-Sub) プログラムへと変更された。

しかしながら、Pre-Sub の主要目的が Pre-IDE プログラムと同様、IDE もしくは市販前承認申請前に、申請者が FDA からフィードバックを得る機会を持てるようにすることにあるという点には、特に留意が必要であろう。

ドラフトガイダンスは35 ページからなる文書で、どのような場合にPre-Subを申請するか、Pre-Subの手続方法、Pre-Subプログラムに適さないのはどんな場合か、FDAによるPre-Sub受理後の各種フィードバック方法など、プログラムの一般的特徴について詳細な情報を提供している。

ドラフトガイダンスは、Pre-Subが特に有用であろう場合の具体的例を提供している。たとえば、新手の技術を含む新しい機器の場合は、申請提出準備中の具体的質問に対する早期のフィードバックを得るのに有利となるだろうし、また、申請提出前にFDAの審査官に当該技術を習熟してもらうのに有利となる可能性もある。

もう1つの例として、新機器が新しい技術、新しい使用目的、新しい検体であったり、新たな臨床上の疑問があったり、データ/統計上の複雑な質問を帯びた体外診断(IVD)機器である場合や、その属性、参照方法が不明瞭であったり不確実であったりする場合がある。

ドラフトガイダンスはまた、たとえば医療機器・放射線保健センター (Center for Devices and Radiological Health、CDRH)、小規模製造業者・インターナショナル・消費者援助部門 (Division of Small Manufacturers, International and Consumer Assistance、DSMICA)、または生物学的製剤評価研究センター (CBER) の製造業者の支援および技術トレーニング出張所 (Manufacturers’ Assistance and Technical Training Branch) に向けられるべき一般情報に対する要請のように、FDA が Pre-Sub を考慮しないフィードバックの種類についても説明している。

そのほか、Pre-Subの定義に合わないフィードバックの例として、FDAの方針や手続きに関する一般的質問や、特に関係政府機関の連絡先の詳細がガイダンス文書に記載されている場合の、技術ガイダンス文書の不明点に対する説明の要請などが挙げられる。

ドラフトガイダンス文書の他のセクションでは、すべてのPre-Subパッケージで提供されるべき情報を記述している。その情報には、申請時の添え状、目次、機器に関する記述、意図される用途/適応症案、過去の討論や提出物の要約、製品開発の概要、具体的質問、フィードバック方法(対面会合、テレビ会議、電子メールなど、フィードバック提供方法に関する要望)および、その他の事業計画情報などが含まれている。

ドラフト・ガイダンスの付属書には、低リスク、免除、米国臨床試験外、510(k)、PMA、HDE、IVD というように、IDE 申請を含む特定種類の Pre-Sub における推奨事項が記載されている。

たとえば、IVD 向け Pre-Sub のガイダンスでは一般的に、申請時の添え状、使用目的文、機器に関する記述 (機器、試薬およびソフトウェアに関する記述を含む)、開発履歴や先験的情報 (検体情報を含む)、提案される研究の設計 (被検査物の情報も含む)、解析計画、臨床計画、統計解析計画書、管理情報表、関連文献および、米国 FDA に対処を要請したい具体的な質問を用意するよう、提案されている。

 

CDRH および CBER 職員との会議
ドラフト ガイダンスでは、情報、Pre-Submission、Submission Issueという、CDRH および CBER に対する要請が可能な3種類の会議を扱っている。 だが、ガイダンスは、同意と裁定、もしくは不服申立のための会議は取り扱っておらず、また、双方向性のある審査プロセスにも対処していない。 こうした面談やプロセスの種類にご興味のある読者は、CDRHの公式ウェブサイトwww.fda.gov/MedicalDevices/default.htm.から関連情報を入手してほしい。

情報に関する会議は、フィードバックはなく、FDA との情報共有を目的とした会議である。

ドラフトガイダンスは、企業が6~12カ月の期間内に複数申請を計画している場合や、企業が現在一般に出回っている機器とは技術的に著しい違いのある新式の機器についてFDAの審査チームに習熟してもらいたい場合に、これらの種類の会議が役に立つであろうことを指摘している。

Pre-Sub会談についてはドラフト ガイダンスは、直接対面しての会議、またはテレビ会議により、実行が可能であると規定している。 この会議は、FDA 職員がPre-Subで確認している具体的な質問に対してフィードバックを提供するために開かれる。

ドラフトガイドラインでは、この種類の会議を要請するためのスケジュールと手続きに関する FDA の現在の考え方も示されている。 読者においてはこのセクションを注意深く検討し、記載されているスケジュールと手続きが合理的であるかどうか、代替的アプローチを提案するコメントをするべきかどうかを判断する必要があるだろう。

ドラフトガイドラインは、FDAが対面会議やテレビ会議の要請を受領してから14暦日以内に、要請がPre-Sub会議の定義を満たしているかどうか判断するとしている。 政府当局は、Pre-Sub 会議は完全なPre-Subの受領から75日以内にスケジュールを組むことを目指し、どんなに長くても90日間を超えないと表明している。

公衆衛生上緊急の問題がある稀なケースでは、FDAは21日以内に会議が開けるようスケジュール調整を試みる。 また、少なくとも会議の3日前に、FDAは電子メールによって申請者に最初のフィードバックを提供するが、そのフィードバックには、申請者の質問に対する書面の回答、該当がある場合は対面会議やテレビ会議に向けた追加トピックに関するFDAの提案、またはその両方を含んでいる必要があるこのプロセスの詳細について、読者はぜひドラフトガイダンスを参照するとよいだろう。

Submission Issue会議は、510(k)、de novo、IDE、HDE、もしくはPMA申請に対する市販前審査中に確認された欠陥について話し合うために、治験依頼者または申請者により要請されることがある。 この類の欠陥は、追加情報の要請や、主要欠陥の表示、または「承認不可」通知書の送信の中に、電子メール、電話もしくはファックスの形で、書面で伝達されている可能性がある。 この種類の会議の目的に関して FDA は、FDA の質問をより詳しく説明したり、複雑な問題に対応するためのアプローチを議論することを意図しており、計画されている回答を見直すためのものではないと述べている。 ドラフト ガイダンスでは、FDA は会議の要請受領から 21 日以内に Submission Issue 会議が開けるようスケジュール調整を試みるとしている。

 

現在のPre-IDE Submissionsと会議
Pre-SubプログラムおよびFDA職員との会議に関するドラフトガイダンス文書は、即時の実施を対象としているわけではない。先ずFDAは、この文書に関するコメントを受け取り、受け取ったコメントを検討し、修正が必要とされているかどうかを決定する。とは言うものの、読者はもうお気づきになったかもしれないが、この包括的文書に示されているガイダンスの一部には、FDAの現在の考え方に沿った形で、Pre-IDE submissionの展開や Pre-IDE会議・テレビ会議の計画をよりスムーズに進めるのに役立つヒントが隠されている。

 

著者:Maria E. Donawa
Donawa Lifescience Consulting, Piazza Albania 10, I-00153 Rome, Italy
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本記事の初出は姉妹誌European Medical Device Technology, 2012年9月/10月号。

 

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