『革新的医療機器に関する保険適用と開発インセンティブの関係分析』:医療機器産業研究所リサーチペーパー

財団法人医療機器センター付属医療機器産業研究所の中野壮陛主任研究員が『革新的医療機器に関する保険適用と開発インセンティブの関係分析』に関するリサーチペーパーを発表した。

現行の保険償還システムが革新的医療機器の開発インセンティブとして機能するメカニズムになっているかの検証をおこなっている。

本リサーチペーパー作成にあたり、中野氏は、まずはじめに特定保険医療材料の保険償還価格における過去10年の価格推移の傾向を調べ、次にC区分として中医協にて了承された新たな特定保険医療材料の保険償還価格と類似機能区分として比較された保険償還価格の推移実態を比較している。

その結果、2002年の保険償還価格を100%とすると、市場実勢価格加重平均値一定幅方式の影響により10年後にはもとの価格の約75%まで下落していくこと明らかとなったという。差益調整のための市場実勢価格加重平均値一定幅方式は必須であり、行政手続きの効率面からは機能区分方式は合理的であると考えられたが、自社の価格設定だけではなく他社の価格設定が影響することから、両者が合わさったシステムは企業の中長期の利益計画の予見性を低くしていると考えられた。また、一つの機能区分に複数の銘柄が混在することは、技術優位性を重視した企業努力も、価格を重視した企業の製品と一律に同じ価格に取りまとめられる状況を含んでおり、意にそまない価格競争を助長させる可能性を含んでいるのではないかと考えられる。これらを解消するため、銘柄別方式の導入などが有効ではないかと考えられた。

また、加算の状況をみても、中医協了承時の類似機能区分の保険償還価格に対しては1.07 倍となっているものの、薬事承認申請期の保険償還価格と比較すると1.01 倍、臨床試験期の保険償還価格と比較すると0.94 倍、非臨床試験期の保険償還価格と比較すると0.88 倍であり、開発インセンティブが働くメカニズムになっているとは評価しにくい現状があったという。

イノベーションの適切な評価を行い、革新的医療機器の開発インセンティブを高めるには更なる大胆な加算が求められると考えられるが、「限りある財源の中で、イノベーションを誘発するために何ができるか」という観点を意識しながら、医療機器産業界としてどの程度の加算を希望するか、そのために後発品からどの程度の財源捻出が許容できるかなどの具体的議論を行政とともに進めることが、国際競争力のある医療機器を開発する観点からも非常に重要であることがわかったという。

本リサーチペーパーのサマリー版医療機器産業研究所のHPで閲覧可能だが、完全版は同研究所への研究協力者を対象に進呈している。同研究所の研究活動への協力・支援制度についてはHPを参照下さい。

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