可搬型のマイクロチップで極微量マイクロRNAを高速検出

マイクロチップ画像:ガラス基板上にPDMSのチップを載せて、空気封止フィルムで固定するとともに、サンプル流出口を密閉することで、脱気したPDMSが空気を取り込む力を引き出している。

独立行政法人理化学研究所は、ポンプや電源などの外部駆動力が不要で、持ち運び可能な自律駆動型マイクロチップを開発し、超微量マイクロRNAをわずか20分で検出することに成功した。がんやアルツハイマー病、糖尿病などの超早期在宅診断装置への応用が期待される。

がんなどの病気を診断するにはマイクロRNA(miRNA)という核酸をマーカー(病気の目印)に使うが、マーカーを検出・診断するには大型の装置と複雑な操作技術が必要で、今まで検出時間も数時間から数十時間もかかっていた。

今回、理研基幹研究所 前田バイオ工学研究室の前田瑞夫主任研究員、細川和生専 任研究員、新田英之特別研究員らの研究チームは、PDMSというシリコーンゴムの1種が空気を取り込む性質をもっていることに着目し、それをポンプに利用してアトモル(amol)未満の極微量のmiRNAを、20分という短時間で検出できるマイクロチップを完成させた。

このチップは、標的となるmiRNAと結合するDNA断片を ガラス基板上に固定し、その上に試料の流入口3つと流出口1つ、それらをつなぐ幅100μm、高さ25μmの断面をもつマイクロ流路を刻んだPDMSを載せて作るという。

PDMSが空気を取り込む性質を利用して、試料を流入口からマイクロ流路に供給すると、検出したいmiRNAだけがDNA断片と複合体を作る。そこに蛍光物質と、蛍光物質同士をつなぐ架橋剤を別々の流入口から滴下させると、合流点で蛍光物質がつながり合って蛍光シグナルが増幅されるという仕組みだ。

開発したマイクロチップは、「その場」で診断できる超早期診断用チップの実現に向けた第一歩だ。また、在宅健診や発展途上国での検診など、機動性を求められる診断にも威力を発揮する期待される。

本研究成果は、米国オンライン科学雑誌『PLoS ONE』(11月7日付)に掲載された。

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