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京大、カーボンナノチューブの新たな光応答性を発見

京大、カーボンナノチューブの新たな光応答性を発見

京都大学の研究者らは、半導体性の単層カーボンナノチューブ(SWNT)が、生体に優しい近赤外光の照射によって活性酸素種を効率良く生成し、さらにその活性酸素種が癌細胞を死滅させることを発見した。

半導体性・金属性SWNTの異なる光応答性。生体に優しい近赤外光(808nm)を照射すると、半導体性SWNTは熱だけでなく一重項酸素を生成し、癌細胞を死滅させる。

これまで、SWNTの発熱作用が、癌の光線治療メカニズムとして注目されてきたが、本研究では、SWNTが熱だけでなく活性酸素種も用いて癌を死滅させることを明らかにした。今後、半導体性SWNTは、これら二つのメカニズムで癌細胞を死滅させるナノ材料としての活用が期待される。

今回、同大の村上達也 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)助教・iCeMS京都フェロー、今堀博 同教授らの研究グループは、橋田充 iCeMS・薬学研究科教授、磯田正二 iCeMS客員教授、辻本将彦同研究員らと協力し、SWNTを金属性SWNTと半導体性SWNTへ分離濃縮し、それらへ近赤外レーザーを照射すると、金属性SWNTに比べて半導体性SWNTは、やや低い光線温熱効果を示す一方、非常に高い光線力学効果を示すことを明らかにした。さらに、この半導体性SWNTの光線力学効果は癌細胞を死滅させるのに十分なものであることも発見した。

本論文は米科学誌「アメリカ化学会誌(Journal of the American Chemical Society = JACS)」のオンライン速報版に掲載された。

カーボンナノチューブは、炭素原子が網目のように結びついて筒状になった物質で、直径はナノメートル単位ととても細く、人の髪の毛の5万分の1の太さだ。鋼鉄の数十倍の強さを持ち、いくら曲げても折れないほどしなやかで、薬品や高熱にも耐え、銀よりも電気を、ダイヤモンドよりも熱をよく伝えるため、医療機器などでの応用が期待されている。

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