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東京医科歯科大学と大日本印刷、印刷技術を用いた「病的近視」治療法の開発に着手

東京医科歯科大学と大日本印刷、印刷技術を用いた「病的近視」治療法の開発に着手

東京医科歯科大学大日本印刷株式会社は、日本人に多い「病的近視」の原因が眼球の変形や異常にあることを3次元MRI画像解析により解明したと発表した。

 

病的近視とは、何らかの原因で「眼軸」(眼の前後の長さ)が伸び、ピントが合わないという光学的な問題だけではなく、眼球自体がいびつに変形することで、 網膜や視神経などの視覚にとって重要な組織が、伸展(伸びたり・歪んだり)するために、網膜出血、網膜変性、網膜剥離、緑内障、視神経障害などを生じ、メ ガネやコンタクトレンズをつけても視力が出なくなってしまう病態だ。文部科学省学校保健統計によると、日本ではここ30年間に裸眼視力0.3未満の小児(ほとんどは近視と考えられる)が3倍以上に増加していることが報告されている。

東京医科歯科大学 眼科学分野 大野京子准教授らが行った3D MRI画像解析を用いた病的近視に関する研究は、今年5月に国際科学雑誌 The Lancet,Ophthalmology,Investigative Ophthalmology & Visual Science誌にも掲載され、今月10月25日から国立京都国際会館で開催される「第66回日本臨床眼科学会」、11月10日より米国・シカゴで開催される「米国眼科学会議(AAO2012)」でも発表される予定。

また東京医科歯科大学研究担当理事森田育男副学長らは、印刷技術を用いた再生医療技術を開発中で、皮膚や骨、歯周組織の再生において、動物を用いた実験ですでに成功を収めているという。その研究成果を応用し、病的近視の治療法として、眼球変形部位にコラーゲン合成細胞を転写して、眼球の歪みや変形を抑制する治療法を開発中だ。

森田副学長らの研究成果は、循環器系ジャーナルArteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology や組織工学のジャーナルであるTissue Engineeringなどに報告されている。

この2つの研究成果は、近視人口の増加にともなう失明リスクを未然に防ぐための診断法や治療法の開発につながると期待される。

印刷技術を応用した病的眼球治療法の開発

<研究成果のポイント>

①3D MRIを用いて生体内での眼球の形状を三次元的に可視化することに成功したことにより、さらに詳しく眼球の形状の変形が解明でき、眼球の変形が主な発症原因である「病的近視」や「緑内障」「網膜剥離」などの新しい治療法の開発につながると期待される。

②今回開発した3D MRIを用いて三次元的にさまざまな角度から眼球を観察できる眼球形状診断システムにより「病的近視」の原因が、眼球形状の変形による網膜や視神経の機械的障害であることを突き止めた。さらに病的近視を引き起こす眼球形状の変形にはいくつかのパターンがあることもわかった。

③ 眼球形状の変形を3D MRIによって正確に把握し、早期に是正することにより、合併病変の発生前に病的近視自体を治療する全く新しい治療法開発への応用が期待できる。

④「病的近視」では、眼球の血管が減少していることが判明し、眼球に酸素や栄養を補給するライフラインである毛細血管の減少と血管層の菲薄化によって、眼球の形状異状を引き起こしている可能性があることがわかった。

⑤上記のような血管の減少が引き起こす虚血性疾患とよばれる病態は、眼だけに限らず全身に生じ、さまざまな病気の原因と関係することから、血管再生医療の開発が盛んに行われているが、今回の共同研究で、印刷技術を応用した血管再生技術によって、血管が失われた部分に細胞シートを移植する動物実験に成功した。

⑥印刷技術(Printing Technology)と情報技術(Information Technology)の融合により、新たな分野への貢献を目指すDNPと医療系総合大学である東京医科歯科大学との共同研究の成果として、印刷技術を応用した新たな再生医療、情報技術を活用した病的近視患者の眼球形状の治療的解析が可能になった。

⑦光リソグラフィー技術を用いて、ヒトの血液からパターン化された血管を体外で作成し、転写技術を用いて、体内に移植することにより、病態、および運動機能が改善することを、動物の虚血モデルで示した。

⑧この転写技術の応用で、骨欠損モデルにおける迅速な骨再生、歯周病モデルにおける歯周組織の迅速な再生も可能となり、新たな再生医療法としての期待がもてるようになった。

 

「病的近視」の本質的な原因は、眼球形状、特に網膜や視神経を擁する眼球後部の変形に関係していること、そして眼球形状の変形により、網膜や視神経が機械的に障害されることが判明したことの意義は大きい。この発見により、視覚障害を生じるリスクが高い眼球形状を持つ患者を未然に見出したり、眼球形状を是正する治療を発展させることで、病的近視の本質を眼底病変発生前に治療できるようになれば、近年増え続ける「病的近視」の患者数に歯止めをかけることができるかもしれない。

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