金属の限界を超える人体インプラント部品向けPEEK樹脂 ベスタキープ

ダイセル・エボニック株式会社が販売するPEEK樹脂「ベスタキープ」はインプラント製品に必要とされる耐用性に優れたポリマーだ。高い生体適合性と耐滅菌性に加え、チタン、コバルトクロム合金、ステンレスチールなどの金属製部品と比較して優れたX線透過性を持っているため、骨の成長過程を確認することが可能だ。また、金属と比較して応力遮蔽効果が低いため、骨の育成を促進することができ、高いデザイン加工性から、よりニーズにあった成型が可能となっている。

2種類のグレード

ダイセル・エボニック社では、インプラント製品が人体のどの部位(皮膚、血液、脂肪組織など)に接触するのか、また接触期間がどのくらいかによって、2種類のグレード(IグレードとMグレード)の「ベスタキープ」を提供している。Iグレードは、人体に長期間あるいは恒久的に留置するインプラント素材に適しており、Mグレードは、一時的に体内留置する医療機器材料に適している。どちらも耐摩滅性も高く、USPクラスVI試験、急性全身毒性試験、皮内反応試験など検査機関が実施したさまざまな試験から、その生体適合性と生体安定性の高さが証明されている。

(1)Iグレード

現在、欧米ではX線透過性や弾性の高い「ベスタキープ」が、脊柱インプラント、人工歯根、整形外科用インプラントなどで使用されている。手術中や治癒過程の追跡に医師は画像診断をすることが多いが、金属製インプラントはX線撮影でアーチファクトが生じるなど限界がある。一方、PEEK樹脂はX線透過性が高いためモニタリングが容易。また金属に比べ弾性が皮質骨に近く、骨の大きさによっては金属よりも高い弾性を示すため骨に対する応力遮蔽効果が抑えられ、骨がより健全な状態で長く保持される点などが評価されている。

<使用領域例>

脊柱インプラント、人工歯根、整形外科用インプラント、頭蓋・顎顔面インプラントなど

(2)Mグレード

Iグレードとともに欧米で医療用途で多く使用されている。金属に比べて軽量なため、術後の患者に負担が少なく、洗浄などの滅菌処理が容易なことや形状の自由度などからくるコスト低減メリットもある。

<使用領域例>創外固定器具など

カスタマイズ・サポート

ダイセル・エボニック社では「ベスタキープ」を使用した金型や成形部品の開発に対するCAEサポートもおこなっている。例えば、シミュレーションサービスでは、最新のソフトウェアを用いて充填から保圧段階、さらに収縮とそりの計算を含む射出成形工程全体について計算をおこなっている。これにより製品開発段階で、金型充填能力・工程パラメーターの実際の値(圧力、温度分布、冷却構造など)を把握できるほか、構成材料の特性を知ることで設計のヒントが得られたり、必要な装置のサイズ・サイクル時間・成形部品の複雑さを正確に測定することで製造コストの削減もはかれる。

また、顧客のニーズにあった形(樹脂、半完成品、フィルム、パウダー、ファインパウダー)でベスタキープを提供しており、射出成形、押出成形、圧縮成形など、さまざまな技術で加工をしている。

同社は今年4月に開催されたMEDTEC Japan展示会にも出展し、射出成形、押出成形、モノフィラメント、静電粉体塗装、フィルム、カーボンプリプレグなどさまざまな加工法を用いて作成された次世代向けのさなざまな加工サンプル・採用例の紹介をおこなった。

「ベスタキープ」はドイツのエボニックインダストリーズが世界的に供給を開始したポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)。ダイセル・エボニック社は日本および在アジア日系の顧客への販売とテクニカルフォローをおこなっている。

 

ダイセル・エボニック株式会社

東京都新宿区

www.daicel-evonik.com

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