規制•認可

野田首相、医療機器の実用化加速のために薬事法改正が必要と強調

野田佳彦首相は2012年8月5日、岡山、広島両県の人工関節や発光ダイオード(LED)を開発・製造する工場を相次いで視察し、「日本が誇るものづくりと医療施設が連携すれば成長産業が生まれる」と強調し、医療機器の実用化を加速させるために薬事法改正が必要との認識を示したと国内各紙で報道している。

先月31日には、政府の国家戦略会議で策定された野田政権の経済成長戦略である「日本再生戦略」が閣議決定され、医療・介護分野は2020年までの再生戦略の重点3分野の1つに規定したたばかり。医療機器の審査の迅速化・合理化を図るため、薬事法については、次期通常国会(2013年度)までの改正法案提出を目指している。

政府の目論見通り、医療・介護・健康関連産業が我が国のリーディング産業に成長し、日本経済復活の起爆剤となれるのか、まさに正念場を迎えている。

薬事法の改正については、医療に関連する「規制・制度改革を進め、引き続きドラッグラグ、デバイスラグの短縮に取り組むとともに、日本のものづくり力をいかした革新的医薬品・医療機器・再生医療製品やリハビリ・介護関連機器等を世界に先駆けて開発し、積極的に海外市場へ展開する」としており、以下の具体策を挙げている。

1) 医療機器・再生医療の特性を踏まえた規制・制度等の確立、先端医療の推進療の推進

医療機器の審査の迅速化・合理化を図るため、薬事法について、次期通常国会(2013年度)までの改正法案提出を目指して医療機器の特性を踏まえた制度改正を行い、医薬品から別章立てするとともに、後発医療機器等を対象に登録認証機関を活用した承認・認証制度の拡充を行う。

また、先端医療等を推進する突破口として、現在実施されている先端医療開発特区(スーパー特区)における成果も踏まえ、大学病院、企業、研究開発機関等の先進的な取組を行う機関が全国的な規模で活動ができるよう、行政区域単位の特区とは異なる機関特区の創設、規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置の活用について、新たな法的措置も視野に入れた検討を進めることとし、当面は総合特区制度の活用により対応を図る。

これらは、「日本再生戦略」策定に先立ち、先月、内閣官房医療イノベーション推進室が策定した「医療イノベーション5か年戦略」(平成24年6月6日医療イノベーション会議決定)の内容を着実に実施していく方針を打ち出したものといえる。

2) 革新的医薬品・医療機器創出のためのオールジャパンの支援体制、臨床研究・治験環境等の整備

医工連携等による拠点整備・開発並びに医療サービスと一体となった海外展開等を推進し、国際水準の臨床研究や難病等の医師主導治験の実施体制を整備するため、複数病院からなる大規模ネットワークの中核として多施設共同研究の支援を含めたいわゆるARO(Academic Research Organization)機能を併せ持つ臨床研究中核病院等を2013 年度までに15か所程度整備する。

審査迅速化や実用化の加速を目指し、医薬品医療機器総合機構の審査・安全対策要員の増員や質の向上、相談機能の拡充を図り、その役割にふさわしい財政基盤や審査手数料の在り方の検討を行う。

3) 重点施策:ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出

高度なものづくり技術を有する大学、民間研究機関、企業等と介護・福祉現場の連携を促進し、高齢者や介護従事者等の現場の具体的なニーズに応えるロボット技術の研究開発や実用化のための環境整備を図る。また、重点分野を特定した上で、安全性や性能の評価手法を確立し、適切な実証の場を整備する。

さらに、国内における早期普及を目指し、生活支援ロボットの安全性等の認証体制構築等の公的支援・制度的措置を講じるとともに、介護ロボット等の海外実証実施など海外展開に向けた国際標準化の支援や、必要に応じて公的給付への適用の検討等を行う。あわせて、公的保険外の医療・介護周辺サービスを拡大する。

以下は「日本再生戦略」のライフ(医療・介護・健康)分野の成長目標。

【2020年までの目標】

医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出。

−新市場約50兆円、新規雇用284万人(うち革新的医薬品・医療機器の創出並びに再生医療、個別化医療及び生活支援ロボットの開発・実用化、先端医療の推進による経済波及効果:1.7 兆円、新規雇用3万人、健康関連サービス産業:市場規模25兆円、新規雇用80万人)

−海外市場での医療機器・サービス等ヘルスケア関連産業での日本企業の獲得市場規模約20兆円

【2015年度の中間目標】

−創薬支援ネットワークによる支援対象の検討シーズ数累積100件

−治験届出数800件(うち国際共同治験数150 件、医師主導治験数20 件)

−新医療機器承認数30

−ヒト幹細胞を用いた研究の臨床研究又は治験への移行約10件

−医療・介護機関と連携した医療・介護周辺サービス市場1兆円

 

カテゴリー: