電子カルテシステムの時系列データやテキスト情報を分析するシステム

東邦大学と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下日本IBM)は、医療機関におけるデータ活用の推進や患者主体の医療の質や安全性の向上を目指し、電子カルテシステムのテキスト情報や時系列データを分析するシステムを開発した。

電子カルテシステムには、検査や治療などの医療サービスの内容、検査結果、診断名など、患者毎にさまざまな形態で存在する大量の時系列データの他に、医師が手入力で追加したテキスト情報もある。エビデンスに基づいた医療への関心が高まる中、東邦大学と日本IBMでは、これらのデータを統合的かつ多角的に分析・可視化するシステムを2011年4月から12月の8カ月間かけて開発した。

この共同研究は、顧客とIBMの研究者が協力しながら先進的なソリューションを作り出すことを目的としたIBMの「First-of-a-Kind(FOAK)プログラム」の一 環。東邦大学医療センター大森病院の医療・医学分野の豊富なノウハウとIBM東京基礎研究所のテキスト分析、プロセス・セマン ティック技術を含む研究開発成果を活用した。

今回の開発においては、東邦大学医療センター大森病院の電子カルテシステムで管理する5千万件以上のレコードをもとに、検査結果や診断名といった定型的な患者情報と、診療記録などのテキスト形式の記述から約94%の精度で抽出された「血圧」や「体重」などの情報を統合した分析システムが完成した。

分析システムでは、特定の疾病や検査値を有する患者集団の時系列的な変化と診療プロセスから、経過表分析、診療プロセスの俯瞰(パスウェイ俯瞰)、プロセス検索・分析などの多様な可視化・分析手法を行うことによって知見を獲得することができたという。

この分析システムを活用した呼吸器疾患患者の東日本大震災による影響分析は、学会でも発表されている。また、シミュレーションにおいて気管支鏡後の副作用事例や高脂血症後の副作用事例などの分析にも有効であることが確認されており、今後さらに多くの事例に適用していく予定という。

東邦大学医療センターの3病院では、総合的な医療 情報システムが稼働しており、IBMのCIS(Clinical Information System)ソリューションが採用されている。同大学では、開発した分析システムを活用しながら、分析の有効性をさらに検証し、医療の質向上に役立てたい意向だ。

IBMでは、社内外に存在する膨大な情報をビジネス分析に活用し、より確かな意志決定支援や新たなビジネス、サービスの創造を促進する「BAO(ビジネ ス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション)」を強化しており、今回のプロジェクトは、BAOにおける東京基礎研究所の成果を活用した医療分野 における情報やエビデンスに基づく医療を支援する共同研究プロジェクト。

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