シリコンや金を材料にしたガンマ線回折用レンズを開発

ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学(LMU)とマックス・プランク量子光学研究所が、シリコンを材料にしたガンマ線の回折に使えるガンマ線レンズを開発した。可視光線よりもはるかに高いエネルギーを持つ電磁放射線を回折できるレンズは実現不可能と考えられてきたが、今回の研究成果で医療分野での応用にも期待が高まる。

 

金を材料とするガンマ線レンズの実験は今夏に予定されている。シリコンレンズよりもさらに強い回折効果が期待される(画像提供:LMUのietrich Habs教授)

今回、研究グループは、シリコンを材料とするプリズムを用いて、仏グルノーブルのラウエ・ランジュバン研究所(ILL)で実験を行い、X線よりも高いエネルギーのガンマ線でもレンズを利用して回折できることを確認したという。

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のDietrich Habs教授は、「シリコンの原子核には14個の陽子が存在しており、極めて多数の電子と陽電子の対が生成され続けている」と説明。この電子と陽電子対はほんの短時間しか存在できないものの、それでもガンマ線と相互作用する」言う。

今回の研究成果の1つの応用方法としてHabs教授が着目しているのがうつ病の診断・治療だ。うつ病にはリチウム療法が行われることが多いが、何故リチウム薬がうつ病に効くかという薬の脳内での効用については実際のところ解明されていない。

ガンマ線とガンマ線レンズを使ってマイクロメートルのレンジでの三次元画像化を行うことで、リチウムが脳のどこに集まっているのかを特定し、なぜ精神に作用するのかを明らかにしていきたいという。また、ガンマ線光学技術をガンの診断・治療にも応用していきたいとHabs教授は語る。

Habs教授率いる研究チームは、2012年の夏には、シリコンではなく金レンズを利用した実験を欧州シンクロトン放射施設(ESRF)を計画している。「金の原子核には79個の陽子が存在するため、シリコンよりも強い回折効果が得られる」とHabs教授は期待する。

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