生理学研究所、脳表面から脳内部の神経活動の推定に成功

 

図1 脳表面の電気記録(ECoG)から脳内部の神経活動の推定に成功

生理学研究所の研究チームが脳表面でとらえた硬膜下皮質表面電位 (Electrocorticogram; ECoG)という電気活動から、脳の内部の神経活動をより正確に推定することに成功した。(図1)

現在、手足に障害を持つ人向けに、脳の活動に同期して義手や義足などのロボットを動かす“ブレイン・マシン・インターフェース”という技術の開発がおこなわれているが、本研究成果によって、脳の中の神経活動を脳に電極を刺さずに知ることができれば、脳に優しい低侵襲なブレイン・マシン・インターフェース の開発につながるものと期待される。(図2)

 

これまで脳の神経活動を知るには、脳波計のように脳の表面の電気活動を測るか、fMRI(機能的核磁気共鳴法)のように脳の表面近くの血流を測ることしかできなかったため、脳内部の神経活動を知るには、脳の中に電極を刺していくなどの方法しかなく、脳に傷をつけてしまうこともあった。

 図2 脳にやさしく脳の中の神経の活動を知る技術の開発(概念図)

今回、生理学研究所の渡辺秀典研究員、西村幸男准教授らは、サルが腕を動かしているときの脳(運動野)の神経活動を、東京大学・鈴木隆文講師の開発したECoG電極を用いて、脳表面の32カ所(1ミリ間隔)から同時計測した電気信号から脳内部(脳表面下0.2mmから3.2mm)の神経活動を高い精度で推定できた。

神経活動の推定にはATR脳情報解析研究所の佐藤雅昭所長の開発した計算手法(“Sparse Linear regression algorithm”)を用い、脳の中に電極を刺し込まなくても、脳の表面から脳の内部の神経の活動を高い精度で知ることができた。


本研究成果は、文科省脳科学研究戦略推進プログラム課題A「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」の一環として、ATR脳情報研究所、東京大学との共同研究で行われ、米国神経科学専門誌(ジャーナル・オブ・ニューラル・エンジニアリング電子版5月9日)に掲載された。

カテゴリー: