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医療機器メーカーの仕入先・購買方針を分析(2)、帝国データバンク

医療機器メーカーの仕入先・購買方針を分析(2)、帝国データバンク

−精密・医療機器分野における青森県と岐阜県の比較

医療機器産業の地域振興において地域企業を主要プレイヤーにするには、その地域企業の強みや特色を生かした売り込みをするのは当然だが、そうした取り組みが買い手側のニーズに合ったものでなければ、実際の取引につなげることは難しい。帝国データバンクの医療機器メーカーの取引構造分析の第2弾では、「買い手の傾向」をもとに地域企業のマッチング戦略を考察している。

本レポートでは精密・医療機器の分野を例にとり、青森県における企業の購買行動や取引構造の特徴を分析している。同県は、近年医療機器の分野で生産額を大きく伸ばしており、2011年度からはライフイノベーション政策を推進している。また、青森県との比較を行う対象として、医療機器分野の生産金額(2009年および2010年)がほぼ同じで地理的条件の異なる岐阜県を取り上げている。

1.青森と岐阜の企業比較

青森県および岐阜県に本社所在地のある企業のうち、帝国データバンクによる産業分類(中分類)が「精密・医療機械製造」となっているものを抽出したところ、企業数は青森県の7社に対し、岐阜県が14社と2倍であった。

しかしそれらの企業の売上高および従業員数の合計では青森県が岐阜県を上回っている。これは主として、青森県に、内視鏡処置具の分野で国内最大手の青森オリンパス株式会社が含まれているためである。また、これら企業の主業を見ると、青森県では「光学機械レンズ製造」が多く、岐阜県では、「医療用機械器具製造」を始めとして、業種がばらける結果となった。

一次取引先(仕入・販売)は県内か県外か?

直接取引を行っている相手(仕入先と販売先の両方)のうちサプライヤー(製造業者)と商社(卸売業者)に対象を限定し調査したところ、企業1社あたりの取引先企業数および取引件数では仕入・販売とも青森県が岐阜県を上回っているが、取引先の傾向には両県で違いが見られた。

青森県の場合、販売先は県外が圧倒的に多く、県内企業は1社(全体の2%)。逆に仕入先では21%が同県内の企業。一方、岐阜県では、取引先全体に占める県内企業の割合は、販売先で8%、仕入先で9%とほぼ同じ。県内企業とのつながりは、青森県では仕入の側で強く、岐阜県では販売の側で強いという結果だ。また、岐阜県では近隣の都道府県(愛知県や福井県)が上位に入っているのに対して、青森県では遠隔地の企業が仕入先の大部分を占めている。

3.二次取引先(仕入)は県内か県外か?

一次仕入先(県内・県外)企業の仕入先で県内企業を抽出したところ、青森県は15社であるのに対し、岐阜県は76社とかなり多く、精密・医療機器分野における産業の裾野は、青森県よりも岐阜県のほうが広いと予想される。

企業数に両県で大きな開きがあるにもかかわらず、売上高合計はかなり近い数字となった要因としては、青森県の二次サプライヤーに売上高100億円を超える大企業が3社含まれてからとみられる。業種では、両県とも金属製品製造業が多く確認された。

4.青森県と岐阜県の特徴の違い

・青森県では、取引相手は県外企業が中心であり、首都圏を始めとする遠隔地企業との取引が多い。県内の企業は、一次仕入先では一定の存在感を示しているが、二次仕入先としては一部の大企業を別にすればそれほど機能していない。

・岐阜県では、取引相手は県外企業である比率が高いが、近隣の県との取引が多い傾向にある。県内の企業は、一次仕入先としてはほとんど活躍していないが、二次仕入先まで見た場合には、かなりの数の企業が関わっていると予想される。

このように、青森県と岐阜県では、同じ精密・医療機器の分野でも、産業の取引構造に違いが見られる。この違いを生んでいる一つの要因としては、岐阜県の場合、名古屋を中心とする中部経済圏の中にあり、この地域内で県境を越えた取引が比較的行われやすいのに対し、青森県の場合は東北経済圏で完結できるような構造がないことが要因と思われる。

5.【発展事例】青森オリンパス(株)の取引構造分析

青森オリンパスは、県内企業のほか、全国の製造・卸売業者や、グループ企業(実質的な親会社)のオリンパスメディカルシステムズから仕入を行っている。これら全国の企業やグループ企業の仕入先には、青森県の企業は確認できず、青森県を除く北東北地域(岩手県・秋田県)では、ごく少数の企業が二次仕入先として見つかった。同社は、青森県内の企業とはある程度のつながりはあるが、近隣の都道府県の企業とはほとんどつながっていない。(調査レポートの全文は添付PDFファイルをご覧下さい)


帝国データバンクでは、大規模データをベースに、特定産業(任意設定が可能)をターゲットとして新たに項目設定を行い、独自の方法で取り出した特定産業をデータパッケージとし、急成長企業やその要因、さらには地理的分布などの視点で分析している。

株式会社帝国データバンク

産業調査部産業調査課SPECIAチーム

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