アンチレーザー技術を放射線用途に応用可能か?

アンチレーザー技術では、入射する光波がキャビティに取り込まれ、完全に吸収されるまで(往復)弾かれている。この時のエネルギーは熱として散逸される。(画像提供:イェール大学Yidong Chong氏)

レーザーが発明されてから50年以上経つが、ここにきてイェール大学の科学者たちが、世界初のアンチレーザー構築に成功した。入射する光線が相互に干渉し互いを完全に打ち消し合う技術で、放射線学における発展に道を開く可能性がある。

従来のレーザーはいわゆる「利得媒質」(gain medium)とよばれる、通常はガリウム砒素などの半導体を使用して、相互に同じ周波数と振幅が揃った光波であるコヒーレント光の集束ビームを発生させる。

昨夏、イェール大学の物理学者A. Douglas Stone氏の研究チームは、アンチレーザーの背後にある理論に関する研究を発表し、そのようなデバイスがシリコンを使用して構築し得ることを示していた。

しかし最近になって同僚であるHui Cao氏の実験グループの協力を得て、チームはようやく実際に機能するコヒーレント完全アブゾーバ(CPA)と呼ぶアンチレーザーの構築に至ったという。

本チームは、特定の周波数の2つのレーザー光線を「損失媒体」として機能するシリコンウエハを含むキャビティへと集中させた。それらの光波はウエハによって完全に捕らえられ、前後に無限に弾かれて最終的に吸収され、熱へと変えられた。

放射線学においては、治療またはイメージングを目的として、通常不透明な人体組織内の小さな領域に電磁放射の狙いを定めるためにCPAの原理を用いることが可能である。

 

本記事の初出は姉妹誌ブログmedtecchinsider 2012年年2月18日付け。

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