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東レ、高感度タンパク質解析チップを開発

東レ、高感度タンパク質解析チップを開発

 

画像1:名刺半分大の樹脂製チップ。今月開催されたnano tech 2012で展示したもの。液体の流れ路が分かりやすいように透明化しているが、本物は黒色。

東レ株式会社は、血液や尿などに含まれる微量の疾患マーカータンパク質を高感度で簡単に検出できる検査診断用タンパク質解析チップを開発した。新チップは、名刺半分のサイズの樹脂製で、タンパク質解析作業時間を従来の数時間から15分以内に大幅に短縮可能できる。2012度中の上市を目指し、実用化にむけての開発を推進する。

 

「今まで血液検査というとシリンダ分の血液採取が必要な上に、検査を高価で大型な検査装置で行っていたが、このチップは血液一滴で解析に必要な試料の前処理・分離・検出などを一括してできる」と東レの研究・開発企画部の山根深一 主任部員は解説する。「その上、1つのチップで6検体を同時に検査できる」という。

従来、血液などのタンパク質を取り扱う研究では、専門家が煩雑な作業を繰り返すか、大型の専用ロボットに頼るしか方法がなかった。患者のベッドサイドで必要な時に迅速かつ高精度に様々な検査を行うことは難しく、微量の検体で簡便、迅速に解析できる新たなバイオツールとして、一つのチップ上 で複雑な化学プロセスや生化学プロセスを実現させるタンパク質解析チップの開発が切望されていた。しかし、検体や試薬を微細な空間でハンドリングする技術や、微量の検体を用いて複雑な測定系を高感度に測定する技術、さらに迅速性や簡便性、コスト等、実現には多くの技術課題があった。東レは独自のナノとバイオの融合技術やこれまでのバイオツール開発のノウハウを総合的に活用することでこれらの技術課題を解決した。

本開発品(画像1)の特徴は以下の通り。

・1枚のチップ上に複数の機能を集積(タンパク質解析の全自動化)

   a. 検体の前処理、定量計量機能搭載
血液の血球分離、尿の沈殿物分離機構をチップ内に搭載し、採集した検体を前処理なしでそのまま検査できる。また、前処理後の検体をチップ内で自動的に定量計量する機構も備えており、適当量の検体をチップに注入するだけで正確な検査結果を得ることができる。

b.  生体成分測定時の課題であるノイズ成分の除去機構搭載

東レ独自の表面修飾技術を活用することで、検体のノイズ成分を分離・除去する技術を開発し、測定の感度と再現性を大幅に改善した。

c. 試薬の自動送液機能
検査測定時の遠心力を利用した試薬の自動・順次送液機構を搭載することで、複雑な測定を自動化した。また、測定項目別に試薬カートリッジをチップに装着する構造により、一つのプラットフォームで多様な測定項目に対応できる。

画像2:遠心力を使ったり、動作を止めて重力を利用することで高精度かつ迅速な測定ができる小型システム。

d. 廃液処理機構
測定で使われた廃液が全てチップ内に留まる設計とすることで、使用後のチップをそのまま廃棄できる。感染防止等の安全面でも優れている。

・シンプルな動作機構で高精度かつ迅速な測定を実現
遠心力というシンプルな送液機構(画像2)のみを利用し、検体や試薬の複雑な取り扱い反応を行える。

その結果、高精度な送液ポンプ等を一切用いない簡単な機構でありながら、再現性と迅速性に優れた性能を実現。

・高感度、定量性に優れた性能を実現
ナノサイズレベルの表面修飾技術を活用し、マイクロサイズのビーズ表面に測定に必要なタンパク質を高密度に固定すると同時に、測定の妨害となる非特異的吸 着を極限まで抑える技術を開発。

これにより、高感度で再現性に優れた測定が可能になり、一定の流量や流速を維持する技術等、微量の 検体を用いた測定時に発生する特有の課題を解決した。

 

東レ株式会社

東京都中央区

www.toray.co.jp

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