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バルーン・チュービングのプロセスを向上させるには

バルーン・チュービングのプロセスを向上させるには

バルーン設計および開発のパラメータを決定することで品質と歩留まりを高めることができる。

By: Kenny Mazzarese

このバルーンテーパーコーン部は、標準外のバルーン寸法となっている。

バルーン形成は科学に基づいた高度な製造技術であり、希望通りの結果を達成するためには、各手順を最高精度で行う必要がある。これらの手順には原材料の選択と準備、予備成形パリソンのサイジング、バルーン押出、バルーン形成が含まれる。

材料化学及び寸法、材料の準備、加える力、熱流、チャンバ圧、冷却速度などのプロセスパラメータは、バルーン形成プロセスにおいて特定の方法で相互作用する。

エンジニアリング及び設計チームは、バルーンの意図する臨床用途に適した性質を形成するため、反応とそれらの変化を完全に理解する必要がある。

材料、バルーンのタイプ、バルーンの長さに応じて、一貫した再現可能なバルーンの性質を達成するために、これらの変数はプロセス全体を通して定義された範囲内に厳密に維持されなければならない。

高性能のバルーンを作り出すためには、プロセスの各手順を注意深く慎重に完了する必要がある。プロセスを加速するため、またはコストを削減するために手順をないがしろにしたり、短縮したりすると、品質が低下し、不良品が増加するだけである。

初期評価

最初に意図する用途(例:血管形成またはステント送達)や直径及び長さ、コンプライアンス、バルーン壁厚、定格破壊圧力、近位ネック及び遠位ネックのサイズなど、必要な情報をクライアントから集めることが重要である。この情報はどの材料が最適かを判断するために役立つ。

各材料(異なる混合、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート及びポリウレタンを含むポリエチレン)の熱成形特性、強度、コンプライアンス、結合及び溶接の隣接部材との適合性、耐薬品性、ガス透過率はそれぞれ異なる。最終的な材料選択の前にこれらの要因を検討する必要がある。

指定されたバルーンの寸法及び性能に基づき、クライアントの用途に最も適した材料と設計が選択される。カテーテル製造を専門とする企業は適切な材料の選択をサポートすることができる。

これらの企業はチュービング及びバルーン完成品材料、サイズ、寸法に関する科学的情報及びプロセス情報のデータベースにアクセスすることができるだろう。また、利用可能なバルーンのタイプ及び材料に関するプロセスパラメータ及びバルーン完成品のテスト結果の完全なセットも提供できる。

そのようなデータベースに含まれる情報は、新しいバルーン開発プロジェクトの開始点とすることができる。応力及び歪のソフトウェアプログラムと共に使用すれば、この情報によって特定の破裂強度とコンプライアンスで正確なバルーン設計が可能になる。

 すべての適用可能な応力及び歪の公式が、検証ソフトウェア(MathCADを活用したものなど)に基づいたプログラムのロジックシーケンスで用意される。設計技術者が必要なバルーン設計パラメータをプログラムに入力すると、最小壁厚及び必要なチュービングサイズ、そして温度や圧力、膨張、伸縮特性、その他必要なパラメータがすぐに決定される。多くの企業が用いている試行錯誤のアプローチと異なり、この方法は全体的な生産速度と最終製品の品質を高めることができる。

実験的試験

特定の直径や破裂強度でバルーンを製造するために必要なチュービングサイズを決定する前に、圧力が材料の極限引張強度を超えないことを確約するため、最も弱い部分を識別する必要がある。

引張強度の値は、分子の二軸配向と成形プロセス中に達した材料の結晶化レベルによって大きく影響される。

実際の材料の引張強度の値を取得する最も効率的な方法は、クライアント提案のバルーンに最も類似したサイズと材料グレードを持つ既存のバルーンに、破壊圧力試験を行うことである。

一部のカテーテルメーカーは、自社のデータベースにアクセスして類似のサイズ、材料、性能の既存のバルーンを特定することができる。これらのバルーンの寸法は、慎重に測定・記録される。その後、設計チームが実験用バルーンに試験を行い、破壊圧力とチュービングの軸方向延伸確定する。

実験用バルーンの試験結果が会社のコンピュータ化されたバルーンサイジングプログラムに入力され、材料の極限引張強度と実験用バルーンの材料延伸率が算出される。

実験用バルーンからの材料特性を使用して、その後プログラムが新しいバルーンと新しいバルーンチュービングのサイズを算出する。これらの計算は、特に材料の性質にチュービング押出プロセスまたはバルーン成形プロセスの結果変動がある場合、無効にすることができる。

材料の選択

材料の弱点部分はフィッシュアイと呼ばれており、一時熱とヒートタイムを増やすことで減少させることができる。

高品質のバルーンを製造するために、メーカーは高品質の材料から開始しなければならない。エンジニアリング及び設計チームは、ポリマーの化学的性質をしっかり理解する必要がある。それぞれのパラメータが異なる反応を見せるためである。また押出プロセス中の具体的な設定及び制御が必要とされる。

均一な組成のバルーン材料を使用することは生産プロセスにおいて極めて重要である。ポリマーが若干劣化すると、引張強度や脆性、柔軟性、結晶度、色などの重要な物理的性質が変化し、材料に弱い箇所(フィッシュアイまたはゲルスポットと呼ばれる)が形成されることがよくある。

 原料ポリマーペレットは、材料調達の仕様を満たし、最高の純度を示さなければならない。異なるグレード及び硬度のポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルなど多様な適応材料においてバルーンの強度、コンプライアンス、その他の性能要件を満たすことができる。

希望のバルーン特性を得るために、混合または共重合体を選択することができる。例えば、非常に柔らかい材料(60Aショアスケール)は一般に伸縮性が高く、低圧閉塞のバルーンに使用される。その対極にある硬質の合成物(110Dショア)はノンコンプライアントの高圧拡張バルーンに使用される。

パリソンの設計

パリソンは成形プロセスの前にバルーンのコーン角度及びボディの定義をよりよくするために使用される。パリソンの構成は、チュービング延伸機とバルーン成形機両方の延伸能力の限度によって決まる。210mmまたはそれ以上の長さのバルーンの最適なパリソンバブル長さは金型長さの60%である。バルーンの長さが短い場合、延伸能力の限度はあまり重要でない。

パリソンはバルーン成形操作の制御に用いられる。チュービングの左右部分がネックダウンされ、チュービングのネックされていない部分よりも硬くされる。ネックされていないチュービングがパリソンと見なされる。

パリソンの長さは材料のタイプと、それより重要であるバルーンの成形結果に基づき、バルーン作動長さの特定の割合によって決定される。

ここでいう成形結果とは、希望の壁厚と、ボディ長さ、コーン、ネックを含む寸法要件を得ることを指す。パリソンの近位側と遠位側の両方の硬くされた部分が、一次と二次の延伸操作中の延伸とブロー制御を可能にする。これらの部分がないと、バルーンブロー中に材料を移動させるために必要な力と距離が予測不能になり、一貫性がなくなる。

形状

バルーンは直径0.5~50mm及び長さ1.0~320mmの範囲である。バルーンは、筒状、球体、楕円形、円錐形、段階状、ドッグボーン状、オフセットを含むさまざまな形状で生産することが可能である。

また、これらの形状を組み合わせて一般的でないほかのバルーンのプロファイルを得ることができる。例えば、筒状のバルーンの一端を先細りさせて、他端を半球状にしたり、1つのカフをバルーンボディと同心にし、もう1つをオフセットにしたりすることができる。

例えば、特定の空洞の形をしていなければならない閉塞バルーンは、対応する材料で作られている必要があり、かつ用途に応じた球体でなければならない。壁面の厚いバルーンは、横断プロファイルを減少させるために長く引き出されたコーンが必要であるかもしれない。  

コーンはバルーンのボディとネック間の過渡的な部分である。コーン角度はバルーンの中心線からコーン部分の表面までの角度である。バルーンの機能によって、コーン角度は30°という急な角度であり得る。正確なコーン角度の形成は、健康な組織に対する破壊を回避するために不可欠であり、適切なエンドプラグの設計と安定したバルーン形成プログラムの結果である。

バルーン金型

一部のカテーテルメーカーは電気的に加熱され、水で冷却される金属金型を使用する。これらの金型には熱処理されたベリリウム銅合金から精密機械加工されたものがあり、これは優れた強度、耐久性、および高熱伝導性を提供する。様々なサイズとタイプの金型が多様なバルーンの寸法に対応できる。金型は、モジュールの互換性を念頭に置いて設計されており、加熱と冷却の時間を最短にする大きさとなっている。バルーン成形機上のこれら金型の切り換えはわずか数分で可能である。  

 カテーテルメーカーは標準のバルーンサイズ用の金型目録を保持している必要がある。しかしながら、非常に特定的な性能要件、より厳しい精度、およびバルーンのコーンとネックの寸法に関する独特な要求に対応することも重要である。カスタムメイドの金型が必要な場合がある。その場合は、短い納期で提供し、金型のサイズを迅速に調整できるように金型部門で製造される。顧客用に作られたバルーン金型はすべて顧客の所有物となる。

強度とコンプライアンス

材料の強度は通常、破裂時の応力またはバルーン破壊圧力として記述される。応力は加えられる力に対して直角の材料の単位断面積当たりに加えられる力として最も一般的に定義される。

材料のコンプライアンスは、通常バルーンの内圧の関数としてのバルーン径における変化として記述される。容量コンプライアンスは一般に非常に柔らかく延伸可能なポリウレタンで作られる低圧力のコンプライアントバルーンにほとんどが適用される。

これらのバルーンは拡張時2倍さらには3倍のサイズになることがあり、拡張圧は通常非常に低い(5~10psi)。容量コンプライアンスはバルーン径に対する注入された液体または気体の容量として測定される。

破裂と疲労

延伸ブロー成形バルーンは非常に強い。バルーン成形プロセスの特質が、ポリマーの分子鎖に顕著な二軸配向性を与え、その結果一定の壁面と、往々にして元の原料の5倍も優れた非常に高い引張強さが形成される。

延伸ブロー成形バルーンは卓越した強度と極めて小さい折畳み特性を達成することもできる。バルーン破壊強度は材料のタイプ、バルーン壁厚、直径に依存する。壁厚の標準値は0.0002~0.007インチの範囲であり、破壊圧力は数psiから最大450psiまでの範囲である。

押出

バルーンチュービングの品質は、社内の専門技術レベルに依存している。技術者とオペレータが各ロットの押出法を作成するためである。また、セットアップとモニタリングのプロセスも品質の出力において重要である。

オペレータは、エンドユーザの高性能要件を満たす、または超える完成品を作成するため、慎重に監視されたステップの厳格な順序に従わなければならない。

このメソッドは、性能不良や不具合をもたらすバルーンチュービングの微細な欠点を減少あるいは排除する最も良い方法である。重要な押出の要素には、成形温度、一次延伸長さ、延伸速度、充填速度が含まれる。バルーン成形プロセスのパラメータを保つためには、一貫したチュービングの特性を維持することが重要である。

特性におけるあらゆる変化が事前にプログラムされたバルーン成形パラメータを変化させることになり、また最終的なバルーン製造結果と歩留まりも同様に変化する。

欠陥とその回避方法

欠陥を最少にするための第一歩は、使用される原料の汚染を注意深く防ぐことである。例えば、チュービングはクリーンルーム環境で押出を行うべきである。 また、溶融状態の樹脂がインラインフィルタシステムを通過するときに汚染物質を取り除くこともでき、これはゲルスポット、ダイライン、異物、および傷を減少させるためにも役立つ。

しかしそれでも欠陥がまだ存在する場合、延伸、熱、圧力などの主要パラメータを調整することによってそれらを減少または排除することができる。例えば、フィッシュアイは一次の熱と加熱時間を増加し、かつ延伸距離または圧力を減少することで、大幅に減少することができる。これらのテクニックを習得し、欠陥の根本にある原因を理解するには訓練を要する。

品質業務

バルーン押出、バルーン形成および生産は、クラス100,000のクリーンルームで行われる必要がある。各バルーンの作業命令書は厳密な検査プロセスを経る。まず最初に、完全に記録・制御された手順の下で、バルーン成形設備がセットアップされ、適格とされる。

製造過程を通して、工程内破壊寸法試験および強度試験が行われる。試験中に不合格品が出た場合は随時作業が停止され、不適合調査が開始される。

最高レベルの品質を確約するために、検査サンプル計画はANSI規格のZ1.4とZ1.9に基づいている。コンピュータ化された高圧破裂テスターおよびリークテスターを使用してバルーンの性能試験を実施することができる。光学ゲージシステムとレーザーマイクロメーターでバルーンの寸法特性を検査する。各バルーンがオペレータにより欠陥や不良がないか目視で検査される。

結論

OEMは、歩留まりを向上したい、性能の特性を改善したい、新製品を開発したい、生産能力を高めたい、または製造パートナーと関係を作りたいなどその目的に関わらず、経験豊富なカテーテルメーカーは大きな助けとなる。

バルーンチュービングは、最小の壁厚や向上された破壊圧力などの大切な性能の特性を達成するために、重要な生産規格を満たさなければならない。これらのパラメータは指定された限度内でなければならず、また後のすべての本番運転で一貫して再現されなければならない。

製造されるバルーンチュービングの希望する許容誤差と機械特性は、慎重に制御された押出プロセスで達成される必要がある。このメソッドは、バルーンの挙動を確実に設計、計算、予測して、繰り返し可能かつ一貫した製造プロセスを維持するために必須である。製造されるバルーンはそれぞれ独特の特異的な性質を持っている。

きちんと開発された製造プロセスは、これらの特性に対応し、一貫して高品質な結果を生み出すことができるはずである。

 

著者:

Kenny Mazzarese is product director of balloons and balloon extrusion at Interface Catheter Solutions (Laguna Niguel, CA).

 

本記事の初出は、英文姉妹誌MD+DIの2011年11月号

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