MEDTEC Online

米国FDAによる新510(k)の提出に関する指針の改定草案

米国FDAによる新510(k)の提出に関する指針の改定草案

米国食品医薬品局(FDA)は承認済み機器を改良改善(修正)した際、どのようなタイミングで510(k)を提出するかに関する指針を14年ぶりに更新した。本記事は新しい改正案と現行の指針間の重要な類似点と差異点について論じる。

米国FDAは、21 CFR 807.81(a)(3)で510(k) をいつ提出すべきかの指定をしているが、この規則に使用されている言語が曖昧なため、機器の改良/改善において、どのタイミングで510(k)を提出する必要があるのか異なる解釈につながることがあると当局は認識している。その結果、1997年に指針文書「Deciding When to Submit a 510(k) for a Change to an Existing 510(k)」(「既存の510(k)に対する変更に関してどんな時に510(k)を提出するかの決定」)が発表され、この文書は今日現在でも有効である。

しかし、1997年に指針が発布されて以来、品質システム規制(21 CFR 820)の大幅改正を含め、さまざまな事例が発生している。2011年1月には、FDAの医療機器放射線保健センター(CDRH)が、市販前審査プロセスの予測可能性、一貫性、透明性を高めることを目的として、「Plan of Action for Implementation of 510(k) and Science Recommendations」(「510(k)実施のための実行計画および科学的推奨事項」)を発表している。この行動計画に記載された項目の1つに、1997年のDevice Modifications Guidance(「機器変更に関する指針」)の更新版の発行がある。

米国FDAは新しい指針案についての意見を募集しているが、指針案は一部は1997年の指針より特段の利点もなくより厳格になっているケースもある。従って、読者はできるだけ早く指針案のコピーを取得し、よく読んで修正が必要と考える箇所についてコメントを提出するとよいだろう。指針文書を発表した米国官報通知では、電子的または書面でのコメント提出方法について説明されている。締切は、2011年10月25日。

 

規制上の制約

米国FDA規制は、機器が商品として流通される際、または再び商品として流通されるが、設計、部材、製造方法、意図される用途において大きな変更または修正がされる際に510(k)を提出するよう要求している。規制の文面については21 CFR 807.81(a)(3)を参照のこと。

指針案では、機器の安全性または有効性に「大きな影響を与える可能性がある」変更と、機器の安全性または有効性に「大きな影響を与える」変更との間で重要な区別がなされた。さらに、変更が安全性および有効性に影響を与えるか否かは通常510(k)通知において提出される試験結果によって示されると記されている。又、ほとんどの場合、試験によって加えられた変更が安全性または有効性に影響を与えないか否かを最終的に決定づけることはできないとも述べている。

なぜこれが重要なポイントなのか?それは、一部の製造者は安全性と有効性が変更によって影響を受けないことを示すことができれば、新しい510(k)を提出する必要がないと考えているためである。残念ながら、規制は変更が安全性または有効性に大きな影響を与える可能性がある場合510(k)の提出を要求している。つまり、規制は米国FDAに製造者が達した結論をチェックするように要求しているのである。

重要な全般的な変更

指針案における最も顕著な変更の一つが、1997年版の指針の主要な特徴であったフローチャートが無いことである。現行の1997年版文書は検討される変更の種類(例えば製品回収の後の変更、是正措置、新規ラベル等)に関する質問を含む主要なフローチャートがある。検討されている変更の種類によって、使用者はラベリング、技術、性能、材料の変更を網羅する3つの異なるフローチャートの1つに誘導される。4つ目のフローチャートは変更がIVDデバイスで使用される材料にかかわる場合に使用される。現行の指針は、主にフローチャートで番号付けされた各質問について検討されるべき個々の問題の説明から構成される。一部の読者はフローチャートが有用であると考えるかもしれない。しかし、それらのチャートが無いことで、指針の文章により集中できるはずともいえる。

新しい指針案は4つの変更の種類の討論に整理されている。

    ・セクションVの製造の変更

    ・セクションVIのラベリングの変更

    ・セクションVIIの技術、工学、性能の変更

    ・セクションVIIIの材料の変更

特定の種類の変更についての各セクションには、検討されている変更について一連の質問が含まれている。各質問は、特定の変更を評価する方法、または変更のタイプに関連する問題について詳細なアドバイスが記載されている。製造者は、510(k)を提出するか、あるいは510(k)を必要としないという結論の根拠と共に変更を文書化するかの決断が行われるまで、機器の個々の変更について各質問に回答する必要がある。例えば、指針では製造者が機器のサイズ、厚み、使用材料を変更する場合、これら3つの変更は個別に検討されるべきだと助言している。

新しい指針案には現行文書と同様、どのように指針を解釈するかについて同種の質問、助言、事案のいくつかが含まれているが、今回の指針案はもっと広範囲にわたっており、これまで対応していなかった分野を網羅しており、新しい例も加えられている。

製造プロセスの変更

セクションVの製造プロセスの変更は、この草案の新セクションである。しかし、その中の情報の一部は1997年の指針のものが含まれており、3つの質問のうち、新しい質問は1つ。それは、「製造プロセスの情報について、510(k)提出の際に、求められていましたか?」である。ちなみに他の2つ、すなわち「包装または有効期限日に変更がありますか?」「滅菌に変更がありましたか?」という質問については、1997年版の技術、工学、性能の変更のセクションに含まれている。

製造プロセスの変更を評価する必要に関して、指針案では製造プロセスが元の認可プロセス中に調査された場合、その製造プロセスの変更が安全性または有効性に大きな影響を与える傾向がより高いとしている。この場合、機器の仕様に影響を与える可能性がある製造プロセスに対する変更は、新しい510(k)の提出が必要に成る可能性が高い。

他の変更に関する指針

セクションVIラベリングの変更の質問および議論は、1997年版のラベリングの変更に記載されたものと類似しているが、新しい質問「今回の変更は、使用方法に関する変更ですか?」が追加されている。さらに、「臨床背景での処方箋使用から家庭での処方箋使用(家庭用機器)への変更」は、通常新しい510(k)を必要とする変更の一例である。これは1997年版指針と異なり、1997年版では処方箋から店頭販売機器への変更に510(k)が必要であるとされている。しかし、処方箋を必要とする機器でありながら、その家庭での使用が米国の医療慣行で許容される機器に家庭での使用法が指示されている場合は例外とされている。1997年版指針にはさらに、多くの処方箋機器がより頻繁に家庭で使用されるようになっており、当局は家庭用ラベルの追加に510(k)は必要ないと考えていることが記載されている。

セクションVII技術、工学、性能の変更は、これらの種類の変更に対する助言に重要な拡張がなされているため、読者は注意して読む必要がある。例えば、新しい指針または質問は次に関連する変更に対応している。

    ・ 機器の人体工学または患者/使用者向けインターフェイス

    ・寸法仕様

    ・機器がどのように電子信号またはデータの送受信、または表示を行うか

    ・既存の機器への自律的または半自律的制御要素の追加

このセクションの最後の質問「変更は機器が実際にどのように使用される可能性があるかに影響を与えますか?」は、新しいもので、さらに6つの追加質問が含まれる。これらは機器の技術、工学、または性能の変更が、現在のラベルに記載されていない、使用に関するラベルの「適切な情報」が必要であるか否かを米国FDAが評価できるように、新しい510(k)を必要とする重大な変更であるかを判断するために役立てることが意図されているものである。

指針案のセクションVIII材料の変更で議論されている問題の一部は、1997年版のものと同じであるが、生体材料の概要への言及が除外され、多くの質問が大幅に縮約されている。さらに、IVD製品向けの材料の変更を論じるセクションがなくなっている。

指針は新しいドラフト文書のセクションIXに、「実質的同等性の判断に臨床データが必要ですか?」という1997年版に記載されたものと類似した質問を掲載しているが、1つ重要な違いがある。現行の指針では、IVDデバイスの場合、臨床サンプルを収集・分析して自主基準の通り、または前の510(k)に記載された通りに機器が性能仕様に継続的に準拠していることを示すことができるとされている。指針では、この状況で通常新しい510(k)は不要であるとされている。対照的に、指針案ではIVDデバイスが異なるテスト要件を有し、新しい510(k)が必要かに関して疑義がある場合、FDAのOffice of In Vitro Diagnosticsに問い合わせるべきであるとだけ記している。

現在のFDAの考え方

指針案は数多くの意見を得るために発行された草案に過ぎないかもしれないが、1997年版より米国FDAの現在の考えをより正確に反映している。企業は機器に変更を加えた後に新しい510(k)を提出する必要性について、今回の草案と現行の指針を比較検討したいと考えるかもしれない。そうすることで、変更の特定の種類に関する米国FDAの現在の見解をもはや反映していないかもしれない1997年版の指針にのみ基づいて、製造者が510(k)を不要と決断した場合に生じるかもしれない問題を回避できる可能性がある。残念ながら、指針案の規制のより保守的な解釈のため、その多くの条項が最終的に採用された場合、製造者は今後数年間、今よりもずっと多くの510(k)提出が必要になる可能性が高い。ただし、510(k)プログラムが存続していればの話ではあるが・・・。

 

著者:Maria Donawa
Donawa Lifescience Consulting, Piazza Albania 10, I-00153 Rome, Italy
tel. +39 0 6578 2665
www.donawa.com

本記事の初出は、弊誌姉妹誌European Medical Device Technology、2011年9月号。

 

カテゴリー: