ナノ構造ガラス利用で、画像診断コストを大幅削減

光学ボクセルコンバータ

永久的にデータを保存できるナノ構造ガラスを英国サザンプトン大学の研究者らが開発した。光学的操作におけるアプリケーションに応用できるため、医療用画像処理のコストを大幅削減できる可能性が出てきた。

 

フェムト秒レーザで作られたナノ構造は、ガラスを通して光の伝わる方向を変えることができ、光の渦を発生させることで、光ファイバのデータの同じ要領でデータを読み込むことができる。応用可能なアプリケーションは、より緻密で正確なレーザー加工、原子サイズの対象物の光学的操作、超高解像度の画像処理などだが、卓上粒子加速器への応用も期待できる。本研究は、Applied Physics Lettersに「フェムト秒レーザでガラスをナノ構造化することで急激な偏光を可能にした光学渦コンバータ」と題した論文として発表された。

強度が十分な状況においては、この超短レーザーパルスは、ガラスにボクセル(立体を三次元の格子点上の小さな立方体の集合で表す際の最小単位。2次元でのピクセルに相当)と呼ばれる小さいドットを刻印することができる。サザンプトン大学・光電子工学研究センターの Peter Kazansky教授率いるこの研究チームは、前回の研究結果で、固定分極を伴うレーザが、厚さ何十ものナノメートル状態で超薄層面の周期的配列から成るボクセルを作り出すことを発見した。そして今回、シリカグラスに刻印されたボクセルを通して分極している光を伝えることで、光の分極方位によっては、光が異なる移動方向を示すことをつきとめた。この複屈折性現象こそが、前述の光の渦を発生させる新しい分極コンバータの基礎になっているわけだ。

サザンプトン大学の発表資料(英文)によると、顕微鏡使用における今回のアプローチは、既存の方法に比べ20倍は安価で、コンパクトな点が利点という。今年5月の論文発表以来、研究者らは技術改良をさらに進め、5次元の光学式記録を可能にした。5次元のメモリは、ガラスの上にデータを永久的に保存することができるという。研究チームはリトアニアのAltechna社と共同して技術の商業化を進めるという。本研究は、EUのFemtoprintプロジェクトの一環としておこなったもの。

 

Miki Anzai

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