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医療機器製造に今後も期待されるレーザー技術

医療機器製造に今後も期待されるレーザー技術

Leister Technologies社のNovolasレーザー装置は、特許を取得したマスク技術に基づいており、この装置でレーザーはマイクロ流体チャネルそのものを除いて基板の全表面を溶着する。

Leister Technologies社のNovolasレーザー装置は、特許を取得したマスク技術に基づいており、この装置でレーザーはマイクロ流体チャネルそのものを除いて基板の全表面を溶着する。

多くの医療機器用途向けにカスタマイズされた粒子の出ない高精度レーザー設備

By Bob Michaels

レーザー技術は導入以来50 年間、科学と産業の中心となってきた。本来はより良い光源の作製、軍用装備の強化、通信の改良のためのツールと見なされていたが、切断、機械加工、溶着にも高精度でクリーンな技法を提供できるため、医療機器の製造部門でも導入されてきた。 ハイパワーの出力を基板に向けることで、レーザー技術は材料を溶解、燃焼、蒸発させ、高品質な表面仕上げを可能にする。レーザーは医療機器製造業では従来式の加工法ほど広まってはいないが、多くの具体的なメリットを提供する。レーザーは穴あけよりクリーンなエッジ仕上げができ、高価なツールを必要とせずに複雑なコンポーネントを形成できると共に、他の加工法より高速で、広範な材料を加工できる。

このため医療機器製造の領域では、レーザー技術は少なくとも今後50年間は活用され続けるだろう。

レーザー溶着

高出力ダイオードレーザーを使用するシステムを専門とする、Leister Technologies LLC(イリノイ州アイタスカ、www.leisterlaser.com)は、点、線、および多くのカスタム形状に形成できるレーザー光線を発生する設備を開発している。この会社の接触なし、振動なし、応力なしのプラスチック材料溶着用レーザーシステムは、局所化したエネルギー応用を実現する。プラスチック溶着用途のニーズに対応するため、曲線、同時、マスク、半径工法を含むいくつかのレーザー送達方法を提供している。

「プラスチック溶着向けに当社はダイオードに基づくレーザーシステムを作っている。ソリッドステートであるためいかなる補充品も必要ない」と Leister 社ジェネラルマネージャ Jerry Zybko 氏は言う。「つまり、Nd:YAG レーザー技術で必要とされるような CO2 供給チューブやランプも必要ない」のだという。

そして、異なる波長で反応するポリマーに対応するため、ダイオードレーザーは 808nmまたは940nmの波長で提供されている。これらの理由で、Leister社は貫通透過赤外線プラスチックレーザー溶着プラットフォームにダイオードレーザーを組み込んでいる。

「当社のシステムが加工するプラスチックは、透明材料と吸収材料の二層を備えている」と Zybko 氏は言う。「レーザーは透明層を通過してその下の層に吸収される。そしてレーザーが吸収される際にインターフェースで熱を生じる」と氏は解説する。

マイクロ流体素子の製造に使用されるLeister社のNovolasレーザー装置は、特許を取得したマスク技術に基づいており、この装置でレーザーはマイクロ流体チャネルそのものを除いて基板の全表面を溶着する。希望の溶着領域はクロムでコーティングされたガラスマスクを使用し、レーザーを通過させるために特定の領域からクロムを取り除いて定義される。フラットトップコンポーネントと、成型されたマイクロ流体チャネルを含む下部コンポーネントがマスクの下に置かれ、クランプ力が適用される。光線が積層体を通過するとき、光線がマイクロ流体チャネルに当たらないようにマスクが防止する。

「したがって、レーザーはマイクロ流体チャネルの外でアッセンブリを密閉するために使用される」と、Zybko 氏は説明する。「この技術は溶着形状に限りがなく、振動または粒子汚染の蓄積も生じずに希望の結合が得られるという点で、マイクロ流体プラスチックチップの製造に適している」という。 Zybko 氏によると、マイクロ流体の応用において大きな役割を果たすことに加え、レーザー溶着はチューブ対チューブの結合操作の領域でも足がかりを得ている。

Leister 社の Novolas WC-C レーザーマシンは、半径溶着として知られている技術を使用してこのプロセスを行う。この技術では、内径が円錐形をした光沢金属エンクロージャの中にあるプラスチックチューブの中にバルブなどのパーツが挿入される。上方から発射されるレーザー光線がプラスチックパーツに当たると、チューブの周辺全体で同時溶着が行われる。「レーザー光線は回転したり、動いたりしない」と、Zybko 氏は説明する。

「レーザー光線はリング形で発射され、そして回折光学素子の補助でわずかな角度をつけて射出される。光沢のある円錐にレーザーが当たると、屈折されてチューブ対チューブのアプリケーションに直角に当たる」という。 そのような応用向けのレーザー技術がますます経済的になる一方で、レーザーベースの製品は通常、x-yデバイスを使用して正確な動きの制御をいまだに必要としている。

さらにそのような設備を使用している間、オペレータはレーザーから保護されていなければならず、運営経費が増加する。 それにもかかわらず、レーザー加工にはほかの技術に比べて無数の利点があるとZybko氏は言う。たとえば、レーザーは粒子状物質、汚染、フラッシュを発生することがなく、溶着がパーツの中に完全に封じ込まれ、余分な材料の排除を防ぐことができる。

対照的に、パーツを30KHzの超音波で溶着すると、振動によってポリマーが若干破壊されるために粒子が生じ、特にマイクロ流体素子の場合は、それらをしっかりと吸引または洗浄する必要が生じる。「レーザーではプラスチックをガラスに向かって挟み込むだけ」と Zybko 氏は言う。「移動や振動、超音波で材料を上下に動かすようなことはしない。このためパーツは非常にクリーンな状態で出てくる。そして体積がつぶれるようなこともない。スペースの体積が100ピコリットル必要な場合、パーツが重ねられて溶着されたときにそれを得ることができる」。

レーザーマイクロマシニング

「ポリマーおよびほかの技術を使ってマイクロマシニングを行うことが困難なその他材料のクリーンな切断、穴あけ、シェーピングにレーザーマイクロマシニングは理想的」と、JPSA(ニューハンプシャー州マンチェスター、www.jpsalaser.com)セールスマネージャーBill Kallgren氏は言う。

ポリカーボネートやポリシクロオレフィンなどの材料を加工できるこの会社のUV 技術は、プラズマプルームとして非常に微細な測定量の材料を取り除くために、レーザーによって射出される UV 光線によって引き起こされる揮発である、フォトアブレーション(光蒸散)と呼ばれるプロセスに依存している。結果、細孔、チャネル、機構がクリーンに形成されると Kallgren 氏は言う。

半導体励起固体レーザーマシン、レーザーマイクロマシニング装置、UVおよび真空UVレーザー光線送達システムを提供するこの会社は、サブミクロンの許容差でミクロン規模の機構を形成できる UVエキシマレーザーシステムである IX-3000 ChromAblate を含むさまざまなレーザーシステムも提供している。主な用途にはステント、カテーテル、マイクロ流体素子、ラボオンチップバイオセンサ、ノズル、MEMS などが含まれる。JPSAのマシンはポリマー、セラミック、ガラス、金属、その他材料を含むさまざまな材料を加工できると Kallgren 氏は言う。

JPSAのUVエキシマレーザーは、サブミクロン許容差でミクロン規模の機構を形成できる。

JPSAのUVエキシマレーザーは、サブミクロン許容差でミクロン規模の機構を形成できる。

シャープに定義された機構や、滑らかな壁面、光学的に透明な表面、その他の複雑な機構を形成できるため、多くの複雑な医療機器がレーザー技術の恩恵を受ける。「マイクロ流体設計などの医療機器製造の用途は、複雑な穴、円錐、チャネル、サンプル室を必要とすることが多い。機構は微細であったり、また均一で一貫したサイズであったりする。

そして、複雑な形態を繰り返し形成することは、UVエキシマレーザー装置が得意とする点」(Kallgren氏)という。 目的は複雑な形態を形成することである一方で、異なる用途は異なる設備のカスタマイズを必要とする。「当社の標準システムは非常に高度な設計がなされた設備だが、モジュール化した設計となっているため、顧客の要求に基づいて設備を加えたり、除いたりすることができる」とKallgren氏は説明する。たとえば、シンプルなプロセスを実行するために使用されるシステムはX-Y-θステージを装備しており、焦点の調整が必要であればz-θステージを装備している、という具合。

一方その対極では、顧客が自動大量生産用にリールツーリールタイプのプラットフォームとビジョンアライメント設備を要求するかもしれない。 エキシマレーザーシステムの場合、異なるイメージを選択してそれらをターゲットに投影する動力化したマスク交換機能を実行するために、追加の動作軸が必要とされるかもしれない。

また、連携した反対の動きでシステムがビームの向こう側のマスクをスキャンし、同時にその下のパーツをスキャンすることができるようにすることも、特定の例では適切であるかもしれない。 「要するに、顧客が行おうとしているあらゆることに基づいて、システムは動作軸を 4 本だけ装備することもできる一方、最大16本の動作軸を装備することもできる」とKallgren氏は言う。

Kallgren 氏によると、将来を見据えたとき、波長と熱制御が特に注意を必要とする領域となる。「顧客は単に金属ステントを切断するだけではない。生体吸収性ステントなどの新素材に多大な関心を示している。問題はこれら素材の多くが熱に敏感であるということ」。たとえば、ステントは従来YAG、CO2、または連続発振レーザーを使用して切断されており、これらの技術は熱の影響を受ける部分が形成され、新素材から作られたステントを破壊する可能性がある。しかし、より高いフォトニックエネルギーと、より高いバンドギャップを持つ一般的な UV レーザーを使用したとしても、やはり理想的ではないと Kallgren 氏は言う。

CO2 や他のレーザー技術を利用したDelta Industrial社のMod-Techシステムは、医療用製品や部材に幅広く利用されている。

「当社は品質を改善するための別の手段としてにパルス持続時間を検討している。より短いパルスを使うことで、光が材料と相互作用するタイムスパンをより短くし、プロセスをより低温にする」(Kallgren氏)。この目的のため、企業は半導体励起UV固体レーザー、またはピコ秒或いはフェムト秒のレーザー波パルスで作動するエキシマレーザーの使用を探究している。これらの技術は多光子吸収を実現し、ターゲット基板にほとんど入熱を形成せず、クリーンな高解像度、高品質のマイクロマシニングを達成できると Kallgren氏 は言う。

レーザーによって生じる熱が問題となることがある一方、Leister Technologies社の Zybko氏によると、レーザーは必要な箇所でのみプラスチックを溶着するため、レーザー技術は熱の影響を受ける部分を最小限にすることができる。したがって、マイクロ流体素子のチャネルにすでに試薬または液体が含まれている場合、レーザーからの熱は影響を与えない。

本記事の初出は、Medical Product Manufacturing News、2010 年 6月号

© 2011 UBM Canon

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