東日本大震災に立ち向かう、郡山地域テクノポリス推進機構

昨年の「ふくしまメディカルクリエーション」会場。地震後、この大会場の天井が破損した。

県内一の大展示場の天井は地震の影響で破損した。

2011年3月11日に発生した東日本大震災は福島県を直撃した。公益財団法人 郡山地域テクノポリス推進機構(以下、郡山推進機構)は、郡山駅に近い県内一を誇る多目的ホールが入る「ビッグパレットふくしま(福島県産業交流館)」の3階にオフィスを構えているが、震災直後に通信回線が途絶え、近隣の水道・電気などのインフラが復旧したのは震災後10日ほど経ってから。さらに自然災害被害だけでなく、原発事故と風評被害が加わったため、震災3日後の3月14日には海岸沿いの富岡町や川内村などから緊急避難のため2300人が「ビッグパレットふくしま」にマイクロバスやワゴン車で押し寄せ、今も寝泊まりしている。大展示ホールは、天井などが壊れているために使えず、被災者はセミナー室や研修室、食堂、通路などで暮らしているという。 「このビルは旅館やホテルとは根本的に違うので、被災者にとって宿泊するには寒く、段ボール箱をさがしてきてプライベート空間を確保し暖を取っている人たちも多い。エレベーターもいまだに復旧しておらず、全員非常階段で上り下りをしている状態」と郡山推進機構の技術コーディネーター佐藤彰氏は語る。 郡山推進機構の会員企業約100社の中には工場が壊滅的な被害を受けたところもあるものの、機構が管轄する福島県・テクノポリス圏域の6市町村(郡山市・須賀川市・鏡石町・石川町・玉川村・三春町)にある会員企業の人的被害はなかったという。そのため、例年行っている「研究開発助成制度・地域技術起業化助成制度」の公募の受け付けも、今年度は募集件数の激減が予想されるものの、先月末から開始した。 「大変な状況だが、それだからこそ頑張って、引き続き圏域企業の研究開発の促進、技術の高度化及び新事業の創出育成等に向けた効果的な事業を積極的に展開したい」と佐藤氏は力強く語る。 fukushima10現在、佐藤氏が特に力を入れているのが、郡山地域の医療・福祉機器開発に関連する中小企業群と韓国 江原道 原州市の医療機器産業クラスターとの医療・福祉機器開発を主体とした産業交流活動。震災の影響で3月31日に予定していたプロジェクト推進会議は今月末以降に延期になったが、佐藤氏は今月中にも韓国入りして今年度の活動計画を協議するという。 「郡山地域−原州医療福祉機器開発プロジェクト」は、2009年11月27日に郡山推進機構と財団法人 原州医療機器テクノバレーとの間で「医療福祉機器開発相互技術協力協定書」を締結しスタートしたプロジェクト。両地域で医療福祉機器開発に関わる技術調査と技術情報の相互交換・高機能凡用技術や部品の相互移転・共同研究開発や企業化促進を行ってきており、日本貿易振興機構(ジェトロ) の地域間交流支援(RIT)事業にも採択されている。 昨年10月に韓国原州市で開催された「江原医療機器展示会GME2010」には、アルファ電子株式会社株式会社コスモテック、有限会社マサル精機、乾マタニティクリニックの4社が初の海外企業として出展をはたし、郡山地域の医療機器産業との技術交流や商談が促進されている。 深刻な打撃を受けた郡山地域だが、地元の企業や技術者たちは、未曾有の困難に敢然と立ち向かい、復興に向けて着実に動き出している。