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汚染デバイスをシャットアウト

汚染デバイスをシャットアウト

再現可能なクリーニングとコーティングプロセスは、デバイスの最終的な承認、成功、収益性に影響する。 By: Jay Tourigny
 

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蒸気脱脂装置は特に大量の医療機器のクリーニングとコーティング向けクリーニング工程の一部である。(画像提供:MICROCARE MEDICAL社)
多くのデバイス設計技術者とメーカーは、デバイスが医師の手に渡った後のデバイスの一貫性と品質においてクリーニングとコーティングが果たす重要な役割に気づいていない。時に結果論となることもあるが、クリーニングとコーティングはデバイス設計と製造のあらゆるステップで考慮される必要がある。付加的なメリットとして、あらかじめこれらの課題を考慮することで、設計と製造のプロセスにおいて、より高い柔軟性が確約され、最終的には低い資本投資で最大の収益があげられる。本記事では、デバイスの製造プロセスにおいて設計技術者とメーカーが直面するクリーニングとコーティングの最大の課題について論じる。また、ソリューションの概要を示し、クリーニングとコーティングプロセスを向上するベストプラクティスを提供する(サイドバーの 「クリーニングとコーティング技術者向けのヒント」参照)。 評価のオプション 技術者とメーカーは、最終的にデバイスの最良かつ最も一貫した性能を獲得するためにクリーニングとコーティングを使用する。またこれらのシステムは、デバイスが滅菌されており、医師の手に渡ったらすぐ使用できることを確約する。 医療機器を製造するとき、技術者はアッセンブリに必要なコンポーネント部品をクリーニングするか、最終的な組み立て後の製品をクリーニングするか、あるいは両方をクリーニングする必要があるかを決定しなければならない。ほとんどすべてのデバイスが、粒子状物質、油、製造プロセスから生じる無機汚染を取り除くためにある程度のクリーニングを必要とする。課題は、デリケートなプラスチック射出成形部品、ステンレス製マイクロチュービング、精巧な埋め込み型デバイスを含む、さまざまな材料と形状に適したクリーニング工程を指定することである。クリーニングとコーティングのいずれも必要としない可能性があるデバイスにはシリコンチュービング、射出成形シリコンマスク、電球などがある。たとえば、一部のシリコン成形品は直接成形機から運ばれてきて自動的にアッセンブリと包装へと送られ、クリーニングのステップは回避される。 コーティングプロセス(潤滑)となると、すべてのデバイスがコーティングを必要とするわけではない。一般に潤滑コーティングの塗布は、医療機器として組み立てられた後に必要とされる性能によって決定される。コーティングは通常、摩擦が少ないほうがより良く機能するデバイスに対して適用される。スライド、左右に移動、回転するあらゆるデバイスは潤滑コーティングの対象となり得る。また、薬剤や流体注入用の注射針やカニューレなどのデバイスはクリーニング後シリコンでコーティングし、針が皮膚を貫くときの摩擦を減らすことができる。同様に、手術用吻合器などの複数のコンポーネント部品から成る機械的アッセンブリは、摩擦を減らし、集合的な許容誤差に対応するため往々にして潤滑コーティングが必要とされる。 技術者またはメーカーがクリーニングまたはコーティングが必要なデバイスを特定すると、主に必要な製造量に従って実際のプロセスが決定される。低生産量の生産環境では、エアゾール、ドライ拭取り、水ベースのクリーナー、溶剤、溶剤および水ベースのクリーナーでのウェット拭取りなどの基本的なクリーニング装置でよいかもしれない。大生産量の生産システムでは、通常コスト削減とクリーニングの一貫性向上のため、技術者はより自動化された清浄システムを求める。それらシステムは溶剤または水ベースで、そのアプリケーション用に設計されたマシンを使用することがある。 自社で適用する潤滑コーティングは、通常シリコンベースまたはポリテトラフルオロエチレン (PTFE) ベースである。高性能の表面処理潤滑剤は製造現場の外で適用しなければならない。これはそれらが体液で濡れたときに滑らかになる親水性を表面に与えるための高度な適用方法を必要とするためである。 クリーニングまたはコーティングシステムを選択するときに考慮する重要な要素には、作業員の安全、設備コスト、処理された部品あたりのコスト、材料の互換性、必要な床面積、FDA 承認または承認の得やすさ、バイオバーデンの減少、使いやすさが含まれる。各アプリケーションには、それぞれ固有の制約があり、クリーニングおよびコーティングシステムを決定するときに行うべきことは、設計と製造技術者がクリーニングとコーティングの提供者と特定の懸念について話し合うことである。
この画像は蒸気脱脂装置に投入されたアルミニウム溶液ディスペンサーノズルアッセンブリのかご、沸騰した溶剤、および蒸気冷却コイルを示す。
この画像は蒸気脱脂装置に投入されたアルミニウム溶液ディスペンサーノズルアッセンブリのかご、沸騰した溶剤、および蒸気冷却コイルを示す。

通常、クリーニングプロセスにおける最大の考慮点は費用対効果である(クリーニングされた部品当たりのコストとして表される)。次に優先される考慮点は材料の互換性(すなわち、プラスチック成形品で流体を使用できるか等)および使いやすさ、安全性、環境問題である。 コーティングと潤滑においては、通常性能が一番の考慮点である。デバイスが製造されて医師の手に渡ったとき、それが設計された通りに動作するだろうか。そしてその次に(クリーニング工程と同様に)、メーカーと技術者は材料の互換性、コスト、安全性、環境問題に最も関心を寄せる。 また、希望のコーティングおよびクリーニング工程を決定するとき、技術者とメーカーはデバイスの分類を考慮する。FDA によって決定された医療機器の 3 つの分類それぞれに、デバイスの安全性と有効性を確約するため異なるレベルの管理が必要とされる。クラス I 医療機器はユーザに対する潜在的有害性が最少であり、通常設計においてクラス II または III のデバイスより簡単である。たとえば舌圧子、便器、検査用手袋、ハンドヘルド型手術器具などである。クラス II デバイスは患者への潜在的な安全上のリスクがより大きい(ただし通常は非侵襲性)ため、より多くの規則の対象となる。これらのデバイスには、X 線装置、輸液ポンプ、外科用ドレープ、針、縫合糸などが含まれる。クラス III デバイスは最も規制が多く、生命サポートまたは維持向けである。たとえば、心臓弁、脳の刺激装置、ペースメーカー、その他の埋め込み型装置などである。 選択するクリーニングプロセスとコーティングプロセスの種類は、デバイスが侵襲性か否かによる。たとえば、シリコンコーティングは人体組織と互換性および安全性を持つため、しばしば侵襲性の器具で使用される。PTFE コーティングは体外で機能する手術用吻合器などの機械的アッセンブリでよく使用される。 クリーニングとコーティングのオプションを検討するとき、EPA の規制およびプロセスに関わる薬品を理解しているクリーニングおよびコーティングの提供者と連携することが重要である。通常、デバイス設計者は FDA の規制に関する専門家である。しかしながら、クリーニングおよびコーティングのパートナーは、デバイスの設計と製造をできる限り一貫性があり、効率的で持続可能にするために、EPA 規制と薬品のパラメータに関する専門的技術を提供できるはずである。これは最終的にメーカーと設計者の時間とお金を節約することにつながる。

 課題 外観:医師、看護師、患者に滑らかでクリーンな表面を持つデバイスを見せる必要があるため、デバイスの設計者とメーカーはデバイス表面の外観を考慮しなければならない。製造プロセスから残留する指紋や粒子状物質などの外観の欠陥を除去するために使用されるクリーニングおよびコーティングのプロセスを通して最適な表面を得ることができる。 表面の仕上がりがオイリーになるシリコンなどの潤滑剤で装置をコーティングするとき、デバイスの外観をより完全にするため、露出している表面からコーティングを取り除く必要がある場合がある。乾燥性潤滑剤などほかのコーティングでは、浸漬またはスプレー後、コーティングは完全かつ一様に乾燥する。 バイオバーデン:バイオバーデンはクリーニングとコーティングの後のデバイスのパッケージ、保管、滅菌における課題である。水性クリーナーを使用しているメーカーでかなり一般的であり、デバイスがパッケージされるときに完全に乾いていない場合によく発生する。 専門的に言うと、バイオバーデンは微生物による物品の汚染である。医療機器上に微生物が存在すると、内毒素の存在につながることもある。これら両方共が無菌でピロゲンフリーの医療機器をエンドユーザに届けることを困難にする。 多くの条件によってバイオバーデンは引き起こされるが、水は細菌の培養基であるため、基本的にクリーニングまたはコーティングのプロセスから水を取り除くとバイオバーデンの培養基も取り除かれる。溶剤が水(水ベース)のクリーナーまたはコーティングより往々にして好ましいのは、溶剤は細菌の成長に不利な環境を作るためである。 バイオバーデンに対処しないと、デバイスが患者に使用されたとき感染につながることがある。バイオバーデンに対処する技術者またはメーカーは、サブミクロン濾過を組み合わせた溶剤ベースのプロセスを指定することができる。 集合的な許容誤差:医療機器の設計技術者とメーカーが直面する最も身近な課題の 1 つは、機械的なアッセンブリにおける集合的な許容誤差であり、これはデバイスの操作時にユーザにとっての課題を形成することがある。これは特に、吻合器や関節鏡検査装置などの複雑な使い捨ての機械的アッセンブリで一般的な問題である。 工学分野で許容誤差とは、物理的寸法の許容可能なばらつきの限度を指す。許容誤差は、性能を低下させずに不完全性とばらつきに対して合理的なゆとりを許可するために設計技術者によって指定される。許容誤差が相互に重ねられ始めると、設計技術者とメーカーにとって許容誤差が 1 つの課題となる。たとえば、医療用吻合器などの機械的なアッセンブリが組み立てられるとき、各金属スタンピング、ばね、プラスチック成形品の許容誤差が組み合わせられて、組み立てられたデバイスを作動または実行させるためにより多くの力を要するようになることがある。この問題は、金属スタンピング、ばね、プラスチック成形品の製造に使用されるツールが摩耗し始めるとき、大量生産で最も一般的に起こる。

Duraglideコーティングで処理される、相対してスライドする金属およびプラスチックのレールとバネから成る一部組み立てられた医療機器。  
Duraglideコーティングで処理される、相対してスライドする金属およびプラスチックのレールとバネから成る一部組み立てられた医療機器  


 

設計技術者とメーカーが集合的な許容誤差に対処する方法はいくつかある。 技術者はすべてをより厳格な許容誤差で設計し、高精度を得ることができる。しかしながら、精度の追求は一般的に製造においてツールと固定具のより頻繁な点検と保守につながり、完成したデバイスの商品単価が上がってしまう。集合的な許容誤差に対するより一般的な対策は、PTFE またはシリコンなどの潤滑コーティングを完成したアッセンブリに塗布し、摩擦を減少することである。 一般に、PTFE パーティクルを使用した乾燥性潤滑剤は、設計技術者とメーカーが集合的な許容誤差の影響を緩和させる最良の方法である。実際、市販されている多くの使い捨て医療機器は、このコーティングがなければ商業的に実行不可能となる。乾燥性潤滑剤は、カテーテル、切断用器具、吻合器、ハイポチューブ、その他表面対表面の複雑なアッセンブリを含む手術室で使用される多くのデバイスや機械的なアッセンブリで使用されている。 乾燥性潤滑剤は、デバイスの作動または実行に必要な力を25~30%減少させ、その手順を実行する医療従事者が円滑かつ非常に楽に操作することを可能にする。オイルベースのシリコンコーティングと比較すると、乾燥性潤滑剤は摩擦係数がより低く、かつ移動性でないため、パッケージに移ることがない。 較正の維持:潤滑剤の分散と流体の較正を維持することは、コーティングの均一性と品質、そしてデバイスの性能にとって重要である。特に乾燥性潤滑剤は、デバイスメーカーにとって一番の課題である。 較正を維持することの最初の課題は、キャリア流体の蒸発をコントロールすることである。 多くの PTFE 乾燥性潤滑剤が非常に急速に気化するキャリア流体と混合される。これは迅速に乾燥してデバイス上に非常に一貫したコーティングを残すことができるため、部品のコーティングには必要であり良いものである。しかしながら、一方でこれはコーティングプロセスの間流体がコーティングに使用される容器から急速に気化可能であることも意味する。一部にはメーカーが飽和度を維持するために大まかな量のキャリア流体を加えるケースもあるが、これは正確でなく、コーティングの品質に影響することがある。 蒸発をコントロールして最大の一貫性と品質を得るために流体を較正した状態に保つには、クリーニングとコーティングのプロセスにプロセス専用の設備を使用することを強く推奨する。これには、密閉された設備や専用の溶剤回収システム、温度制御槽、温度制御槽、ホイストまたはコンベアなどの工学的部品供給システム、スプレーまたはブラシアプリケータなどの工学的アプリケーションシステムなどが含まれる。

流体較正におけるもう 1 つの課題は PTFE 粒子そのものである。PTFE 粒子は液体キャリア中での浮遊時間が短いため、PTFE マイクロ粒子を使ったコーティングの多くが一定の撹拌を必要とする。浮遊時間が短いということは、流体が容器内に入れられて部品が浸漬されるにつれ、より多くの PTFE 粒子が流体中で容器の底部に沈んで行くことを意味する。メーカーの多くがこの問題に流体を絶えず撹拌することで対応している。しかしながら、これが不適切に行われると、粒子がやはり不均一になり、筋状のコーティングになってしまう。 コーティング用途の PTFE 粒子の浮遊時間の短さに対する重要なソリューションは、マイクロ粒子を含んだ事前較正済みの流体を使用する提供者を見つけることである。たとえば、MicroCare Medical 社の Duraglide ドライフィルム潤滑剤は、キャリア流体と PTFE 粒子の割合を維持する事前混合済みかつ較正済みの調合を使用している。さらに、専有技術である PTFE 微細分散技術は、薄く滑らかなフィルムを処理表面に堆積させることができる。この微細分散は固有のキャリア流体中に PTFE を懸濁させ、より効果的な浮遊時間を形成することができ、均一なコーティングと円滑なデバイスの動作をもたらす。 また、潤滑剤プロセスにおける PTFE 粒子の浮遊時間は、熱の利用(つまり流体の沸騰を維持する)、超音波、閉ループ循環システム、機械的撹拌を通しても制御または向上することができる。撹拌を維持するためのこれら方法のどれも、適切にプロセスに取り入れないと蒸発の加速化を引き起こすことがあるため、技術者とメーカーは方法の選択時にも注意する必要がある。 施設:デバイスの製造を実現するためのプロセスにおいて特にメーカーが直面する施設面での課題がいくつかのある。1 つの懸念がクリーニングとコーティングのプロセスを選択するときのマシンフットプリントである。たとえば、その設備にどのくらいのスペースが必要か、そしてこれがその他施設コストに対してどのような影響を与えるか、またはどんな付随的な影響があるか、を検討する必要がある。選択したクリーニングシステムによって、スペース、電気、保守、水道へのアクセスに関する要件が異なる。 一般に、水ベースのシステムは溶剤ベースのシステムよりフットプリントが大きい。クリーニングおよびコーティングのデバイスに使用されるシステムには幅広い種類があるため、あるシステムがフットプリントの減少に最も効果的であると言うことはフェアでない。その結果、特定の製造上の必要性に照らして設計することができるクリーニングとコーティングの提供者と緊密に連携することが重要である。 タイミング:メーカーにとってのもう 1 つの懸念は、プロセスのどのポイントでデバイスを清浄化し、その後潤滑剤でコーティングするかを定義することである。このタイミングは製造全体およびデバイスの輸送プロセスに影響する。潤滑コーティングは時にデバイスの組み立てを補助するため製造プロセス中で塗布されることがある。また他の場合では、操作を容易にするために製造プロセスの最後に塗布することもある。コーティングは組み立て中および組み立て後に塗布することも可能である。 コーティングが処理表面に適切に付着するようにするため、潤滑を適用する前には部品を常に清浄化する必要がある。潤滑剤は汚染された表面にはうまく付着しない。デバイスのクリーニングとコーティングのタイミングは個別に判断される。クリーニングまたはコーティングのパートナーが技術者およびメーカーに特定のデバイスやシステムについて適切なタイミングをアドバイスすることができる。 環境問題:環境規制はコーティングと潤滑に新たな課題をもたらし、これはメーカーと技術者の両方にとって最重要事項である。当事者は皆、最も効果的で環境に対する影響が最小のクリーニングおよびコーティングを提供したいと考える。クリーニングとコーティングの多様なオプションを考慮すると、明らかに他のものより環境への影響が小さい製品があるが、これはまたあらゆる種類の無駄に関しても検討する必要がある。たとえば、水は天然で、デバイスのクリーニングに使用できるが、そのシステムのフットプリント、使用電力、必要な保守、バイオバーデンの制御、実際に使用される水の量を考慮したとき、システムの総合的な環境に対する影響は溶媒システムより大きいかもしれない。環境面の影響を判断するときは製品自体だけでなく、すべての要素を考慮する必要がある。 無駄を減少し、持続性を高めることができる 1 つの要素は、クリーニングおよびコーティング用途に(手動に対して)工学的なシステムを使用することである。プロセスが自動化されると、ユーザは一貫性だけでなく、無駄の減少にもつながる、効率性を得ることができる。 終わりに 以上をまとめると、クリーニングとコーティングの提供者をパートナーとして連携することが重要であると言える。あらゆる溶剤と設備に関するその経験は、メーカーと技術者が特定の応用向けに最良のプロセスを選択するのに役立つ。 医療機器およびアッセンブリを設計するときに技術者とメーカーが留意すべき重要な事実は、クリーニングとコーティングのプロセスが完成した製品の性能、品質、一貫性において非常に大きな役割を果たすことができるという点である。 プロセスに影響する多くの課題があるが、最終的なベストプラクティスは、適時に知識に基づいた方法であらゆる質問と懸念に対応できる専門のクリーニングおよびコーティングの提供者を見つけることである。パートナーとうまく連携することは、プロセスの品質と一貫性、および製品の性能を高めるだけでなく、メーカーが設計と製造のプロセスにおける柔軟性を得ると同時に、最大の収益性を達成することを可能にする。 Jay Tourigny is vice president of operations at MicroCare Medical (New Britain, CT). 本記事の初出は英語のMD&DI、2010年5月号。 Copyright © 2010, Canon Communications LLC

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